「しんぶん赤旗」2014/05/16
カジノ反対高まる声
青少年に悪影響「依存症」増やす
 長崎県佐世保市のハウステンボスにカジノを含む統合型リゾート誘致の問題が持ち上がっています。県は、本年度の当初予算に「カジノ誘致をすすめる検討事業費」328万円を計上。ギャンブル依存症に焦点をあてた学習会には、会場いっぱいの120人が参加するなど、県民の間でカジノ誘致を許さない運動が高まっています。(長崎県・村ア利幸)

 長崎県の中村法道知事は3月4日、県議会において、カジノ施設誘致を表明。「長崎県・佐世保市IR(統合型リゾート)推進協議会」を設置し、知事自ら会長に就任しました。

 一方で、日本共産党の堀江ひとみ県議は3月議会・予算総括質疑で誘致撤回を求めました。佐世保市では3月22日、市民有志による「カジノ問題を考える会」の準備会が立ち上がり、地元から反対の声が広がっていきました。

 今月2日には、民主長崎県政をつくる会(中里研哉代表世話人)の7人が、県の推進するカジノを含む統合型リゾートの佐世保市・ハウステンボス誘致について、@住民福祉・生活環境・青少年への影響Aギャンブル依存症B経済効果―の三つの観点から、県に中止・撤退を求めました。会の新木幸次事務局長らは「中村法道知事は先の知事選で、県民に対し『カジノ誘致』について一切触れていない」「ギャンブル依存症の問題や青少年への悪影響の懸念がある」「ギャンブルは病気の原因となるため、医療や社会福祉の面の負担が生じる。経済効果も疑問」などと指摘しました。

 これに対し、県は「万全の規制対策を行い、マイナス面を克服したい」と回答しましたが、会から「他者を犠牲に利益を得る仕組みがそもそも間違っている」との反論がありました。

 民主県政をつくる会はさらに14日、「カジノ誘致問題を考えるつどい」を長崎市で開き、約120人が参加しました。西脇病院院長の西脇健三郎氏が「精神科医の立場から依存症対策について講演しました。学習会で、新木事務局長は「既存の富をむしり取るビジネス。その後に派生するさまざまな害悪は自治体で負担することになる」と指摘し、カジノ誘致の中止・撤回を求めて運動を広げていこうと呼びかけました。