「しんぶん赤旗」2014/04/26
告発 基地は今佐世保(下)水陸機動団
日米強襲揚陸部隊出撃も
崎辺に一大拠点

 3月24日、武田良太防衛副大臣が佐世保市を訪れ、崎辺地区を水陸機動団の拠点とする方針を伝えました。それは、西側の佐世保重工業社有地(13・4ヘクタール)を買収して水陸両用車部隊(52両の米国製の水陸両用強襲輸送車を購入)を配備するものです。部隊の庁舎・隊舎・整備場などを設置し、陸上に水陸両用車の訓練区域を、海上にも訓練海域を設けます。

 さらに重大なことは、東側の崎辺海軍補助施設(LCAC駐機場跡地=12・9ヘクタール)に埋め立てを伴うL字型の大規模岸壁を建設するとしたことです。おおすみ型輸送艦、ひゅうが型・いずも型護衛艦の接岸を念頭に置いています。おおすみ型輸送艦はLCACを搭載し、医療設備も備え、米軍のドック型揚陸艦に相当するものです。中期防衛力整備計画でも「水陸両用戦に係る輸送能力を強化するための改修等」が計画され、14年度予算にも計上されています。

 また、ひゅうが型・いずも型護衛艦は事実上の「ヘリ空母」でオスプレイの運用が可能です。昨年6月に行われた米軍との共同演習「ドーンブリッツ」では「ひゅうが」にオスプレイを着艦・格納させています。この点では米軍の強襲揚陸艦に相当するといえます。そして16年度末には、いずも型2番艦が佐世保に配備となります。

 相浦駐屯地には水陸機動団の第一連隊、崎辺地区には水陸両用車部隊が置かれ、隣接する岸壁から輸送部隊に搭載されて出航するという、非常に機動的な展開が可能となります。「日米の強襲揚陸部隊」が佐世保から出撃という事態も起こり得る状況となってきました。

 このような動きに対して佐世保市長は「国防上必要とされる自衛隊施設の整備・充実に向けて、今後ともできる限りの協力をさせていただく」とのコメントを出しました。しかし水陸機動団は、巧妙に危機をあおり、軍事緊張をエスカレートさせながら「集団的自衛権」行使を狙っていく安倍政権の戦略の大きな柱です。決して「国防上必要」なものではありません。

オスプレイ検討

 また遠距離輸送を行うとして陸自にオスプレイ17機が導入されます。水陸機動団が使用することが想定され、近隣の海自大村航空基地への配備が懸念されています。同基地は佐世保の強襲揚陸艦搭載のヘリの整備をする共同使用施設(日米地位協定2条4項b)です。政府は日米共同使用のオスプレイの整備拠点の選定をことし4月から本格化させます。すでに昨年末に一部マスコミが「大村の陸自駐屯地と大分県日出生台(ひじゅうだい)演習場での訓練移転が検討されている」という報道をしています。

 日米両政府の中国牽制政策の中で県内基地の大幅な強化が進められようとしています。