「しんぶん赤旗」2014/04/24
告発 基地は今 佐世保(上)米軍
「殴り込み」部隊の拠点
 基地機能増強のすすむ佐世保の状況についてながさき平和委員会の冨塚 明事務局長に寄稿してもらいました。


 現在の米海軍佐世保基地の第一の特徴は海外で唯一の強襲揚陸艦部隊の拠点であること。強襲揚陸艦ボノム・リシャールをはじめとする4隻の揚陸艦、4隻の掃海艦の母港であり、世界の7割の海岸線から陸地に侵入できるLCAC(エアクッション型上陸艇)の海外唯一の前進配備基地です。ボノム・リシャールは沖縄・普天間基地のオスプレイを搭載し、海から空からの「殴り込み」のプラットホームです。

 第二の特徴は、米第7艦隊の燃料・弾薬の補給、中継拠点であることです。艦艇約70隻を3カ月間行動させることが可能な約85万キロリットルの燃料と、約4万トンの弾薬を貯蔵しているといいます。イラク侵略戦争ではまさに燃料・弾薬の補給の役割を担い、そして強襲揚陸艦部隊は在沖海兵隊をアフガニスタンからイラクに輸送しました。この海兵隊部隊はファルージャでの戦闘に参加し、1300人を超えるといわれるイラク市民などを殺害したのです。

12隻駐機の予算

 この米軍基地の機能を維持・強化するために多額の「思いやり予算」がつぎ込まれてきました。最近では地元住民の要求を逆手にとった機能強化が進められています。揚陸艦の修理や交代時の民間企業とのトラブルを解消するとして、長さ520メートルの使い勝手のよい新岸壁の建設に約218億円、騒音解消のためとして、現在のほぼ倍の12隻が駐機できるLCACの新駐機場建設(西海市)に約281億円の予算が計上されました。

 LCACの運用予定は佐世保市に事前通知されてきましたが、昨年3月の移転後は、消音施設の完成と保安上の理由から廃止となりました。それでも佐世保市の要求に、海上運航については非公開を条件に今年3月までは通知継続となりました。しかし西海市への通知は一切ないままで、関係者は不安を抱えたままです。

 また近隣住民を危険にさらしている前畑弾薬庫を返還する代わりに、その機能を針尾島弾薬集積所へ統合・近代化する計画が着々と進められ、その費用は1000億円を下らないといわれています。

上陸作戦を支援

 3月4日、米国防総省は「4年ごとの国防計画見直し」を発表しました。2020年までに海軍艦艇の60%をアジア太平洋地域に配備し、在日米海軍を強化することを明記しています。

 すでに米海軍は佐世保配備の輸送揚陸艦デンバーを最新鋭のグリーン・ベイに交代することが決まっています。

 グリーン・ベイは新型のサン・アントニオ級輸送揚陸艦で09年1月に就役。最新の指揮統制システムを搭載し、船体はデンバーの1・5倍、搭載LCACは倍の2隻、そしてオスプレイ2機を搭載できます。ボノム・リシャールに次ぐ、オスプレイの第2の飛行プラットホームの役割を果たし、殴り込み能力は大幅に増強されます(グリーン・ベイの到着は来年2月の予定)。

 さらに18年には沿海域戦闘艦4隻が掃海艦と交代する形で配備されることになりました。沿海域戦闘艦は米海軍が大量建造を計画している小型艦で、高速速射砲、対空ミサイル、機関砲を備え、哨戒ヘリや偵察用の無人ヘリを搭載します。高速(時速85キロメートル程度)で機動力に優れ、レーダーに探知されにくいステルス性能を持ち、機雷や潜水艦に対抗できるほか上陸作戦の支援などもこなします。これは佐世保基地の攻撃能力を一挙に高めるものとなります。