「しんぶん赤旗」2014/04/12
諫早国に制裁金命令
佐賀地裁2カ月以内に開門を
 国営諫早湾干拓事業潮受け堤防排水門(長崎県諫早市)の開門をめぐり、「よみがえれ!有明訴訟」の原告・漁業者らが、開門するまで国に制裁金を支払わせるよう申し立てた「間接強制」について、佐賀地裁(波多江真史裁判長)は11日、2カ月以内に開門しない場合、漁業者49人に1人当たり1日1万円の支払いを命じる決定をしました。

 申し立ては、2013年12月までの開門を命じた福岡高裁の確定判決(10年12月)を国が履行しないため、開門義務を履行させるためのもの。決定は、国が確定判決を履行しないという憲政史上初の事態を、裁判所が厳しく断罪したものです。

 国は開門反対派などの強硬な反対や、長崎地裁での開門差し止めを命じる仮処分決定(昨年11月)により開門を履行できない「障害」があると主張してきました。決定では、「可能な限りの措置を講ずるべき」だとし、国の主張する事情は「障害とは言い難い」として「主張は採用できない」と退けました。

 馬奈木昭雄弁護団長は「憲法を守らない国の態度を裁判所が断罪した」と強調。その上で「漁業被害が毎日拡大している。国はこれ以上争う権利はない」と述べました。

 同日、国は決定の取り消しを求める抗告を行うとともに、制裁金の支払いの停止を申し立てました。



安倍政権はすぐ開門を
仁比聡平参院議員

 仁比参院議員は「安倍政権はすみやかに開門実現を」とのコメントをだしました。


 佐賀地方裁判所は、国に対して、2カ月以内の開門と、開門まで漁民1人あたり1日1万円の支払いを命じました。「開門を命じ確定した判決を国が守らない」というありえない事態のもと、極限の被害に苦しむ漁民の漁業権は「生活の基盤にかかわる重要な権利」とし、問題解決の責任を果たそうとしない国を断罪した画期的決定です。

 長崎県などの反対で対策工事も開門もできないという国の言い分を、裁判所は、他の代替工事を検討し国自身が排水門の管理を行うなど、信義則上できる限りの措置を講じるべきであるとして、正面から退けました。

 安倍政権がこれ以上争い続けることは許されません。国が、漁業と農業、防災共存の対策工事を責任をもって具体化し、すみやかに開門を実現することを強く求めます。