「しんぶん赤旗」2014/02/27
官民あげカジノ誘致
ハウステンボス
すでに税金1600万円投入
 風車などオランダ風な街並みで知られる長崎県佐世保市の観光施設ハウステンボス。いま、刑法が禁じる賭博場・カジノを「合法化」し、ここに誘致しようとする動きが急速に強まっています。市長も参加して誘致促進の集会を24日に開いた、佐世保カジノの動きは―。

 「カジノはもともと、ハウステンボスの立て直しが色濃い話だった」―。カジノ誘致運動に当初からかかわってきたハウステンボス社役員は言います。

 国のリゾート法(総合保養地域整備法)の指定を受け、2000億円もの資金を投じて1992年に開業したハウステンボス。しかし、当初から経営難が続き、2003年に経営破綻。野村証券の支援を経て、10年に格安旅行会社エイチ・アイ・エスが完全子会社化、同社の澤田秀雄会長がハウステンボス社長に就任しています。

 佐世保へのカジノ誘致が本格化したのは07年8月です。佐世保地区の経済人13人が発起人となり「西九州統合型リゾート研究会」が発足。現在、長崎、福岡、佐賀の3県の企業170社が結集し、西九州財界あげてのカジノ誘致運動の枠組みがつくられています。

根強い反対
 興味深いデータがあります。同「研究会」が07年10月にインターネットを利用して行った県民意識調査です。

 それによると、日本にカジノ合法化の動きがあることを「よく知っている」はわずか12・8%で、「全く知らなかった」が21・1%、「聞いたことはある」が66・1%。合法化への賛否は「賛成」11・9%にたいして「反対」「どちらかといえば反対」が19・4%です。

 日本共産党の山下千秋佐世保市議は「多くの市民にとってカジノなどまったく縁遠い存在でしかない。しかも根強く反対の意見があります」といい、「それを無視して、行政がカジノ誘致に前のめりになるのは大問題だと思う」と指摘します。

 長崎県と佐世保市が昨年から共同でカジノ誘致のための行政組織を立ち上げ、すでに税金から1600万円余を支出しています。

 県議会は12年10月にカジノ合法化の法整備を国に求める意見書を賛成多数で可決しました。これにたいして日本共産党の堀江ひとみ県議は「カジノが税収を増やして雇用を創出するとばら色に描くのは空想的。賭博で地域経済を活性化しようとは本末転倒だ」と強く反対しました。

東京じゃ×
 ハウステンボスの澤田社長は、首都・東京へのカジノ開設に反対しており、「首都にカジノができれば数年で日本は二等国になる」などとくりかえし発言。24日の集会でも「世界の大国で首都にカジノを置いている国はない」と力説しました。

 本紙は澤田社長に質問しました。

 ―東京ではだめなカジノが長崎ならいいとお考えになる理由はなんですか。

 澤田社長 カジノはそうは言ってもばくち性があるから人口の大きなところよりも、失礼な言い方だが、人口の少し小さいところでやったほうが地方の活性化、いろいろな意味で効用がある。

 「東京でだめなものは長崎でもだめに決まっています」と話すのは、佐世保市に住む真如(しんにょ)詠子さん(66)。新日本婦人の会長崎県本部の会長です。

 「こういうものは地方でやればいいというのは長崎県民への侮辱。佐世保市の印象を悪くし、将来を担う世代に悪影響を与えるカジノは許せません」といいます。