「しんぶん赤旗」2014/02/27
被爆体験の継承手助け
紙芝居絵本が完成
 長崎の被爆の語り部・下平作江さん(79)の半生を描いた紙芝居絵本がこのほど完成し、下平さんは「次の世代へバトンを渡していってほしい。若い人に原爆を伝える手助けになればいい」と語っています。

 絵本は、下平さんの証言集などを参考にA3判16枚で制作された『原爆廃墟から生きぬいた少女』(長崎文献社)。構成の末永浩さん(78)、作画の井上幸雄さん(81)は共に被爆者です。

 被爆者らでつくる「紙しばいの会」の紙芝居の絵本化の第2弾で、元日本原水爆被害者団体協議会顧問の故・山口仙二さんと、長崎原爆被災者協議会の谷口稜曄さん(85)の作品を収めた「ノーモア・ヒバクシャ」に続くものです。

 年間350回を超える証言活動を行っている下平さんは、長崎原爆が投下された1945年8月9日、爆心地から800メートルの防空壕(ごう)の中で被爆。下平さんとその妹は奇跡的に生き残りましたが、被爆後の貧しい生活と病苦の中で、妹は、汽車に飛び込み、自ら命を絶ちました。

 下平さんは、絵本の中の妹が亡くなった場面をめくりながら、「戦争によって10歳と8歳の子どもだった私たちは、悲惨な生活をしました。妹は死ぬ勇気を選び、私は生きる勇気を選びました。二度と戦争はやめてほしい。世界中どこの国も、手をつないで助け合って生きるべきです」と語ります。

 下平さんは「平和とは何だろう」と問いかけます。「人の痛みが分かる心を持つことが平和の原点。平和教育はそのためにあります。こういう悲惨なことがあったと自覚してほしい。長崎のみならず、遠方の人にも原爆の苦しみをしっかりと受け止めてほしい」