「しんぶん赤旗」2014/02/21
検閲で消えた山の稜線
長崎市で写真展
 長崎市松が枝町の「ナガサキピースミュージアム」で現在展示中の写真の中に、山の稜線(りょうせん)が消された形跡のある写真があります。「今博多町町内運動会」(1941年撮影)と「稲佐方面の風景」(1906年撮影)と題された2点です。当時、検閲にかけられ、機密保持の観点から、このような処理が施されました。

 写真は、長崎史談会相談役の宮川雅一さん(79)の実家に残る古写真24点を展示した写真展「宮川雅一の長崎郷土史 新“岡目八目”」の中にあります。

 「稲佐方面の風景」を撮影したのは、日本の写真の元祖・上野彦馬(1838〜1904年)の直弟子の一人・宮崎寛治郎で、宮川さんの祖母の弟にあたります。宮川さんは、写真の情報を広く募る目的で写真展を開きました。戦前・戦中の検閲の状況をじかに伝える写真が含まれていることから、秘密保護法の問題とも重なって一般紙などが取り上げ、話題となっています。

 当時の長崎は、旧日本陸軍の要塞があり、山の稜線などは、敵国に地形を知られる恐れがあるため、当時、検閲で規制の対象となていました。

 写真展は、入館無料。23日まで。