「しんぶん赤旗」2013/05/10/
創業79年おおとり運送 親会社の廃業通告に怒り
「一方的な解雇は違法」
建交労分会・仕事継続、撤回を要求
長崎・佐世保
 創業79年の「おおとり運送」(長崎県佐世保市)労働者36人は、親会社・鷹島建設(会長=椎山賢治・松浦市議)の指示により、おおとり運送野口隆博社長から一方的な廃業通告を受けました。通告は紙切れ一枚で、今後の雇用、退職金・生活保障などの説明は一切ありませんでした。建交労長崎合同支部おおとり運送分会は「廃業は不当」として廃業予定期日をすぎた5月も仕事をしながら、たたかいを続けています。
(長崎県・村ア利幸)

 おおとり運送は、2008年に鷹島建設の傘下に入って以降、必要のないクレーンの購入・売却などを強いられ、売却益は吸い上げられていました。おおとり運送にはクレーン代金の支払いのみが残るという状況が続きましたが、昨年11月に労働者2人で組合を結成すると、またたく間に30人まで組合員が増え、クレーンの売却は食い止められたものの、3月末に鷹島建設は4月末閉鎖の廃業を打ち出したのです。

売上げ増加
 廃業理由として、おおとり運送の債務が膨らんでいることと、2月末におおとり運送の代表取締役に就任した野口氏が業務中の転落事故によって長期入院となり、経営責任を果たせなくなったことを挙げています。

 分会は、おおとり運送の売り上げは前年度より伸びており、野口社長は就任から入院まで2週間しかなく、財務を把握していないなど、廃業理由にはあたらないと反論。「廃業を回避するための具体的な経営努力を尽くしていない」として会社存続を求める団体交渉を申し入れています。

 分会長の中村清彦さん(40)=おおとり運送統括本部長=は「紙切れ一枚の廃業通告を受け取り、『従業員に廃業することになったと説明してくれ』と言われたが、話にならないと抗議した」と当時の状況を話します。「実質十数日しか来ていない社長が廃業を決めているのは納得できない。会社はつぶさせない。受注している仕事を責任持って取り組んでいく」と語ります。

支援者ら激励
 廃業予定前日の4月30日、分会支援集会が開かれ、多くの激励がありました。県労連の塩塚二朗議長は「伝統ある会社をつぶし、労働者を路頭に迷わせる不当労働行為。使用者の一方的な解雇は世界的に違法で、それは近代社会の中で確立してきたルールです」と訴えました。組合つぶしを狙った廃業通告に批判が集中しました。

 支援している日本共産党の安江結子松浦市議は「話し合いにも応じずに一方的な廃業通告とは許せない。会長は公職にもある。責任を果たすべきだ」と話しています。