「しんぶん赤旗」2013/03/23
小学校そばに産廃処分場!?
長崎市川平町住民が反対運動
自治会加入世帯97%が署名
 長崎市川平町の川平小学校近くに「産業廃棄物処理施設 設置反対」の横断幕が張られました。西海市西彼町の民間会社・田中清環が小学校の目と鼻の先に、産業廃棄物処理施設を4月1日から開業しようとしているからです。住民は約1週間で川平上自治会の加入世帯の97%に当たる279人の署名を集め、反対を訴えています。
(長崎県・村ア利幸)



産廃処分場の設置予定地
 産業廃棄物処理施設の設置計画は、住民にとって寝耳に水でした。昨年11月24日の事業者説明会で初めて知らされたのです。

環境汚染が心配

 予定地から自宅が200メートルほどの男性(61)は「なぜ、ここに」と困惑しています。「産廃を持ち込んで細かく砕く破砕が主の中間処理施設とのことだが、雨が降ったときに流出の不安がある」と語ります。約2000人が住む川平小学校区は浦上川沿いにあり、その水は水路を伝って浦上水源池(貯水量189万5000立方メートル)へと流れ込んでいます。長崎市の水源池はすべてがつながっており、全家庭の蛇口へと通じているのです。

市は問題視せず

 田中清環は、市の中心地から近く搬入費用が安く済むとの理由で川平町を予定地に選定しました。市の事業許可はまだ受けていませんが、市は「危険な化学物質の流出などの可能性がなければ、許可は出さざるを得ない」と問題視しない姿勢です。しかし、住民らの話では、市の担当者の中には現場の状況に疎く、予定地から浦上水源池に流れ込む水路があることさえ知らない人もいたと言います。

 産廃施設に反対している杉本浩太郎さん(65)は、@水への影響・異臭などによる環境汚染A小学校が近いB97%が反対―と指摘します。「この地域には『三ツ山おろし』という山風・谷風があり、長崎大学をはじめ多くの公共施設がある文教町や昭和町まで臭いが流れます。観光都市・長崎にとって大きな問題ではないか」と話しました。
予定地から流れ出た水は、水路を伝って
浦上水源池へと流れ込む

 同じ地域の男性(65)は「川平小学校から500メートルほどなのになぜ、産廃施設を持ってくるのか。現在49人の児童がいるが、産廃施設ができて児童数が減り分校・廃校にでもなると、町が成り立たなくなる。2回目の説明会は3月25日に予定されているが、手続きを進める一環としてやっているとすら感じられる」と憤りました。

 杉本さんの案内で現地調査した日本共産党の中西敦信前市議は「地域の合意が大前提のはず。ホタルの里もある自然豊かなところには似合わない」と話しています。

 五つの自治会と3団体が反対の横断幕に名を連ね、文字通り地域ぐるみの反対です。企業と行政がどう対応するかを、住民は注視しています。