「しんぶん赤旗」2013/01/19
土曜人とき
愛情たっぷり甘い蜂蜜
ニホンミツバチの飼育・研究を続ける
長崎県・佐世保市在住 久志冨士男さん(77)
 蜂といえば刺されると敬遠しがちですが、「ニホンミツバチは人に懐き、刺さない」と話します。「ニホンミツバチは、飼い主を憶えて頼りにする傾向がある。人間に対して一種の“愛情”があるということです」と22年に及ぶ飼育・研究活動を通じて確信しています。

 1935年、平戸市生まれ。県立高校で英語を教えていました。「定時制高校など困難校での教師経験を小説にしたい」と志していましたが、自宅近くに巣をつくっていたニホンミツバチが駆除される寸前のところを助けて引き取ったことから計画が一変しました。

 「ミツバチが近くにいないと生活できない」というほど、40群・約40万匹ものニホンミツバチを育てて研究、愛情を注いでいます。

 セイヨウミツバチよりニホンミツバチの蜂蜜は甘くて美味しいと評判です。しかし、飼育が難しいため、養蜂家の間では敬遠されていました。戦後、壱岐や五島で絶滅していたニホンミツバチを2007年から復活させると、爆発的に増え、この蜂による営業養蜂が始まりました。

 理科と名のつく本を読破していくことが趣味です。座右の銘は「正義は勝つ」。正しいことは必ず報われます。

 ミツバチや人間のためにも「農薬に頼らない農業のあり方を追求したい」と意気込みます。共存共栄の社会をつくるのが夢です。
(長崎県・村ア利幸)