「しんぶん赤旗」2012/06/30
整備新幹線 3区間着工を正式認可
長崎新幹線
ムダ遣い、安全も疑問
「県民の会」が談話

整備新幹線 3区間着工を正式認可

 羽田雄一郎国土交通相は29日、凍結されていた整備新幹線3区間(北海道、北陸、九州)の着工を正式に認可しました。同日の政務三役による検討会議で、財源確保や地元自治体の同意など着工に必要な全ての条件を満たすことを最終確認したとしています。整備新幹線の着工認可は約4年ぶりで、民主党政権では初めて。総建設費は約3兆400億円とされていますが、それにとどまらない可能性もあります。

 国交省はこの日の閣議後記者会見で「整備新幹線は持続可能で活力ある国土を築く礎となる」と強調しました。消費税増税法案の国会審議が行われている中で認可したことについては「効率的、効果的に事業を進める決断をしたので、理解していただけると確信している」と述べました。

 新たに着工する3区間は、北海道新幹線の札幌―新函館間(211キロ)、北陸新幹線の金沢―敦賀間(113キロ)、九州新幹線の諫早―長崎間(21キロ)。建設費のうち約1兆円はJRが支払う既存新幹線の施設使用料を充て、残りを国と沿線自治体の負担金で賄うとしています。財源確保のため、通常10年程度の建設期間を延ばすことで単年度の負担軽減を図るとしています。

 整備新幹線の開通により、並行する在来線の経営がJRから切り離されることになっており、在来線の存廃や運賃値上げなどによる住民生活への悪影響が危惧されています。

 整備新幹線3区間の着工は、「コンクリートから人へ」を掲げて政権交代した民主党政権の下で凍結され、検討し直すとされていました。今回の着工認可は、八ツ場ダム、東京外環道の建設の凍結解除に続く、民主党の「マニフェスト」投げ出し、自公路線への回帰です。消費税を増税して、不要不急の大型公共事業に注ぎ込むものといえます。


「県民の会」が談話
 国交省が長崎「新幹線」の諫早―長崎間の着工を認可したことについて、「長崎『新幹線』の建設中止を求める長崎県民の会」の大石久仁子会長は、認可取り消しと計画を白紙に戻すよう求める談話を出しました。

 談話は「認可された諫早―長崎間は費用対効果が1以下であり、時間短縮効果も20分程度にすぎない」と指摘。「国民には消費税の大増税を押しつける一方で、長崎『新幹線』に5000億円も注ぎ込むというのは、税金の使い道として許されない」と批判するとともに、▽導入予定のフリーゲージトレイン(軌間可変電車)は実用化のめども立っておらず安全性にも疑問▽長崎県でも佐賀県でも、「新幹線は必要ない」という人が多数▽「コンクリートから人へ」の民主党の政権公約にも明確に違反―と指摘しています。