「しんぶん赤旗」2012/06/26
「被爆体験者」訴え棄却
長崎地裁 内部被ばくの影響否定

 国の被爆指定地域外で原爆に遭った「被爆体験者」395人が、国・長崎県・長崎市を相手に被爆者と認めるよう求めた集団訴訟の判決が25日、長崎地裁であり、井田宏裁判長は全員の請求を退けました。

 国は、爆心地から半径12キロの同心円の中を「原爆被爆地域」と指定しましたが、長崎市でなかった当時の地域は円内であっても除外。除外された地域で原爆に遭った人は「被爆体験者」とされ、被爆者健康手帳が交付されず、医療費支援が制限されているため、正当な補償を求め、全国被爆体験者協議会が訴訟を起こし、原水禁日本国民会議が支援していました。

 判決は、「被爆体験」直後に下痢や脱毛の症状を経験したとして内部被ばくの影響を訴えたことについて因果関係を認めず、内部被ばくの健康影響を否定しました

 訴訟を支援してきた長崎被爆地域拡大協議会の峰松巳会長は「悔しい。『被爆体験者』を人間と考えていない判決で裁判官の見識を疑う」と批判しました。