「しんぶん赤旗」2012/04/26
予算を読む
多い不要不急の大型事業
待機児童解消への保育施設助成アップ

 長崎県2012年度一般会計当初予算は前年度比1・2%減の約7004億円で、近年一時的増加はあるものの年々減額しています。



 県債残高は1兆2092億円で、県民1人当たりの借金は約84万円(全国20位)です。県民所得が全国44位、地方税収入が全国46位と厳しい中にあって、財政に占める借金の割合を示す実質公債費比率は11%(全国6位)です。

 長崎県政は不要不急の大型公共事業予算が多い、という問題があります。費用対効果が疑問視され、県民に反対の声が強い長崎「新幹線」建設事業に約46億5238万円。利水・治水の両面で効果がなく、不要とされる石木ダム建設事業に約10億500万円。県庁舎を長崎駅周辺の「埋立地」に新築移転する計画の関連では今年度約3億7453万円、来年度約1億4618万円。諫早湾干拓事業は約33億6657万円もつぎ込みます。

 中村県政では、金子前県政よりも福祉・環境保健・教育に予算を割いているのが特徴です。生活関連の予算比率は、金子県政12年間の平均34%に対し中村県政3年間の平均は39%です。

 一般財源の福祉医療費助成費予算は約10億1404万円。そのうち乳幼児医療費助成費は約8428万円増の約7億9082万円です。中村県政が始めた乳幼児医療助成で窓口負担のない現物給付制度は、子育て世帯から高い評価を得ており、現行の就学前までの対象年齢引き上げが求められます。



 新たな試みもあります。福祉では、待機児童解消のため、一定の基準を満たす認可外保育施設への公費助成に約2億1926万円(前年比2億826万円増)は関係者の粘り強い運動の成果です。就職支援では、求人や障害のある生徒の実習先を開拓するスタッフを県立学校へ配置し、郷土を担う高校生の就職活動を支援する「(新)キャリアサポート事業」に約6904万円を計上しました。

 離島地域の住民負担軽減、交流人口拡大を図るため、離島基幹航路に使用されている船舶の更新・長寿化に要する経費を助成する「離島地域交流促進基盤強化事業費」約35億8381万円や「ハザードマップ作成支援システム事業費」1500万円なども評価できます。

 長崎県政の最も特異な点は、46基金に約1748億円(県民1人あたり、約11万円)もため込んでいることです。全国トップ10に入ります。財源調整3基金は毎年取り崩され、減少を続けていますが、371億円ある県庁舎建設整備基金を県民の暮らしや福祉にまわすといった基金の見直しが求められます。