「しんぶん赤旗」2012/02/02
長崎 南島原市の小学校統廃合計画
   教職員・学級数は半減
   教育が危ない 強行しないで

 長崎県南島原市教育委員会は分校と複式学級を解消して「教育環境を適正化する」として、小学校統廃合を推し進めようとしています。統廃合により教職員が半減するだけに、「教育が危ない」と反対の声が上がっています。
(長崎県・村ア利幸)


 南島原市加津佐町にある野田小学校は、130年余にわたって野田校区の子どもたちの教育の場を担ってきました。今年度の全校児童数は85人、学級数は6学級です。市は、学校の「適正規模・適正配置」を理由に野田小学校を廃校にし、1・3キロ離れた加津佐東小学校と2014年度をめどに統合する計画を進めようとしています。

 統廃合対象は20校6分校に及び、計画通り7小学校に統合されると、110ある学級が61学級に減り、194人の教職員が97人に減らされます。子どもの数は変わらないのに、学級数も教職員も激減することになり、住民から「本当に適正規模なのか。行き届いた教育ができるのか」と疑問の声が上がっています。

 この間、日本共産党の小林知誠市議は、学校統廃合問題を議会で取り上げてきました。小林市議の質問に、藤原米幸市長は「教育を進める上で教育を担う教職員が一番大事」と認めながらも、教職員が半減することについては「教育にプラスになるのかマイナスになるのか、判断するのは難しい」と言葉を濁しました。

 小林市議の「統廃合すると、国からの交付金が約60%1億6894万円も減ることになる」との指摘に、藤原市長は「学校が減れば交付金が減るのは仕方がない」と答弁し、統廃合の問題点への対応も説明できないまま強行しようとしています。

 「強引な統廃合計画は反対」と日本共産党と住民は運動に立ち上がっています。1月29日に学校統廃合問題のビラ配布行動を行い、翌30日には、小林市議が野田校区6カ所で街頭宣伝を行いました。小林市議は「まず住民説明会の開催を求めよう」と呼びかけました。訴えを聞いていた68歳の女性は「小学校がなくなって子どもの声が聞こえなくなるのはさびしい」と話しました。

 今年度に行われた保護者対象アンケートでは、約7割が「学校統廃合は必要なし」と回答。藤原市長は「市民の反対を押し切ってまで実施はしない」とのべています。「地域の学校」を守る運動は正念場を迎えています。