「しんぶん赤旗」2011/11/8
豊かな海、一緒に 
諫早訴訟・開門原告が陳述

 国営諫早湾干拓事業(長崎県諫早市)で設置された潮受け堤防をめぐる開門請求訴訟と開門差し止め訴訟の弁論が7日、長崎地裁(井田宏裁判長)で開かれました。

 差し止め訴訟の弁論では、国に開門を命じた福岡高裁判決の裁判の原告だった大鋸(おおが)幸広さん=佐賀県太良町=が意見陳述。大鋸さんは、潮受け堤防閉め切り後、生活のため岡山まで出稼ぎに行ったことなどを述べました。

 差し止め訴訟に加わっている漁民らに対し「今の有明海は本来の姿ではありません。ともに同じテーブルについて将来に向かって話し合い、一緒に豊かな海を取り戻しましょう」と呼びかけました。

 開門を求める訴訟では、原告側が、潮受け堤防の現状を撮影したDVDを法廷で映写。調整池で体長5ミリメートルのユスリカによる蚊柱が約6キロメートルの堤防上に林立している様子、アオコによって緑色に変色した調整池の水が排水される様子を紹介しました。

 弁護団の魚住昭三弁護士は、「これらの原因は調整池の淡水化によるプランクトンの異常発生だ。有明海をもとに戻すには、開門によって調整池に海水を導入するしかない」と訴えました。