「しんぶん赤旗」2011/9/27
納得の開門実現を 
長崎地裁・二つの訴訟で弁論

 国営諫早湾干拓事業(長崎県諫早市)で設置された潮受け堤防排水門の開門を漁民らが求める訴訟と、開門差し止めを求める訴訟の弁論が26日、長崎地裁(井田宏裁判長)で連続してありました。

 開門請求訴訟では、国見漁協(長崎県雲仙市)の宮本幸盛さんが意見陳述しました。タイラギ(二枚貝の一種)などの豊かな漁場だった諫早湾が、事業開始後には18年連続でタイラギが休漁になるなど「死の海」となったと告発。「豊かな海を後世に残したい。一日も早く開門して、豊かな海を返してください」と訴えました。

 開門阻止訴訟では、湾内の漁民が「開門すれば現在の漁場が破壊される」として開門反対を主張しました。

 このなかで、補助参加人の開門請求訴訟原告、室田和昭さん=瑞穂漁協副組合長=が意見陳述し、組合の全員協議会(2010年3月)で開門を求める決議を採択した思いを語るとともに、農業も営む立場から、国が防災対策工事や補償に取り組むよう要求。阻止訴訟の原告に「農業や漁業被害の現状を直視し、目の前にある問題を一つひとつともに解決して、だれもが納得できる開門を実現しよう」と呼びかけました。

 弁論後の集会で開門を求めている「よみがえれ!有明訴訟」弁護団の馬奈木昭雄団長は「開門に対する不安・誤解を解き、防災や農業用水の対策について農民や漁民と対話を広げたい」とのべました。(写真)