「しんぶん赤旗」2011/8/10
核兵器禁止条約の制定を 
被爆5団体首相に共同要望

  長崎市の被爆者5団体の代表5氏は9日、平和式典のため長崎市を訪ねた菅直人首相と面談し、「『核のない世界』をめざす国際社会の機運を高め、核依存の壁を乗り越えて。核兵器禁止条約の制定」などを政府に求める共同の要望書を手渡しました。

 5氏は、長崎原爆被災者協議会の谷口稜曄会長、長崎県被爆者手帳友の会の井原東洋一会長、長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会の川野浩一議長、長崎県被爆者手帳友愛会の中島正徳会長、長崎原爆遺族会の正林克記会長です。

 要望書は、5団体が協議を重ねて一致した共同要望です。@核兵器の廃絶と原爆被害の国家補償の実現をA被爆者にとって緊急な八つの事項の実現をB福島原発事故による被ばく者の援護・救済及び脱原子力発電にむけて、の三つの柱からなっています。

 5団体を代表して川野氏が「核兵器廃絶について、わが国の姿がまったく見えない」と政府の姿勢を批判し、南北に12`b、東西に7`bという長崎の被爆地域指定について、「科学的根拠はないため、納得いかない。総理の英断を求める」と訴えました。

 さらに、原発事故について「まさに人災。『安全神話』をふりまいた国と東京電力の責任は重大だ」と力をこめました。妊産婦・乳幼児、児童などに配慮した安全対策や自然エネルギーを基幹とするなどを求める要望を読み上げ、「明確な答えを求める」と発言しました。

 菅首相は、要望の肝心な点にふれない発言を繰り返したため、5氏のなかから、「百四十回以上陳情・要請してきても答えは変わらない」と不満をぶつける場面もありました。