「しんぶん赤旗」2011/6/11
諫早開門に1077億円
 アセス素案 弁護団、巨額試算に抗議

 農水省は10日、長崎県の国営諫早湾干拓事業の開門調査に向けた環境影響評価(アセスメント)の素案を公表しました。
 想定される三つの開門方法ごとに周辺海域や農業用水の調整池への影響を予測した上で、農漁業、防災対策などの事前工事に82億円から最大で1077億円の費用が掛かるとの試算を示しました。

 昨年12月、福岡高裁開門判決が確定し、国は2013年12月20日までに潮受堤防排水門を開放する義務を負っています。

 アセスが想定する開門方法は、@最初から全開する「全開門」A段階的に空けて最後に全開する「段階開門」B調整池の水位や水の流速を制限して開ける「制限開門」―の3パターン。「制限開門」については水位の異なる二つのケースを示しました。

 「よみがえれ! 有明海訴訟」弁護団は同日、「巨額試算は農水省の開門サボタージュ」と抗議する声明を発表しました。

 声明は、@弁護団が提起してきた段階的開門に対する真面目な検討がなされていないA環境影響評価法の対象事業でもない開門に同法に準拠した手続きは不要B不要で検討する必要もない開門方法をあげている―と指摘。

 福岡高裁判決の確定で問題の遅れは違法状態の継続に他ならないとして「長崎地裁における客観的でオープンな協議以外に事態を収拾する道はない」とのべています。