「しんぶん赤旗」2009/11/24
カネミ油症被害今も
 全国保団連が視察/五島


 PCBやダイオキシンが混入した食用油を摂取したことが原因で健康被害をもたらしたカネミ油症事件。

 公害や環境問題にとりくんでいる全国保険医団体連合会の公害環境対策部は22日、23日の両日、カネミ油症患者が多い長崎県五島市で視察会を行いました。

 一行は同市の奈留島を訪れ、油症患者の実態を聞き取りました。

 参加した患者らは、カネミ油症の症状が「非特異的」であるため油症とわからず、次々と現れる病気に苦しみ続けてきたこと、差別を恐れ油症であることを隠し続けている患者がいること、子どもを油症にしてしまったことへの自責―など40年間の苦しみを語りました。5人家族のうち2人が未認定となっている患者は、同じ油を食しながら認定に差がある不合理さを涙ながらに訴えました。

 視察した医師の一人は、「患者が身体的、経済的、社会的にも苦しめられてきたことを知った。行政のサポートが必要」だと話しました。

 22日には、カネミ油症の検診にかかわった水俣協立病院の藤野糺名誉院長らの講演が行われ、カネミ油症の実態解明、患者の早期救済が呼びかけられました。

 カネミ油症患者に認定されれば、油を製造販売したカネミ倉庫から22万円の見舞金と医療費の本人負担分・通院費は支払われますが、公的支援はありません。

 現在、カネミ倉庫を相手に損害賠償を求める裁判が係争中です。