「しんぶん赤旗」2009/10/11
カネミ油症新認定訴訟 
40年たち被害深刻化

 PCB・ダイオキシンが混入した食用油が原因で健康被害を被ったとして、患者らが油を製造販売したカネミ倉庫に損害賠償を求めているカネミ油症新認定訴訟の第5回目の裁判が8日、福岡地裁小倉支部で開かれました。

 この日は、原告側の証人尋問が行われ、油症患者の検診を行ってきた熊本学園大学の原田正純教授が被害者の実態について証言しました。

 原田氏は、油症には特異性がなく、頭痛や腰痛など一般的な全身症状が多発するのがその特性だとし、「40年たってその症状は悪化・深刻化している」と述べました。

 PCB摂取はこれまで人類が経験したことがなく、ある時点で基準を定めても「それは仮説に過ぎない」と強調。「基準に固執し、定説化することは事実を切り捨てることになる」と批判しました。
 また、行政に対し、実態調査の実施を求め、医療費など患者への援助の必要性を訴えました。

 記者会見で弁護団は、「油症患者が救済から放置され、被害は深刻化している。カネミ油症事件が40年たっても終わっていないことを明らかににすることができた」と評価しました。
 次回裁判は12月10日。原田氏に対する反対尋問が行われます。