「しんぶん赤旗」2009/7/16
漁、農業両立の対策を 
開門求め漁民ら/長崎地裁


 諫早湾干拓潮受け堤防の開門と漁業の再生を求めている小長井・大浦漁民の裁判が13日、長崎地裁で行われ、原告の平方宣清さんと馬奈木昭雄弁護団長とが陳述しました。

 平方さんは漁師としてのこの間の苦しみと今年のタイラギ漁への期待を語り、開門して「漁民の生活を、町を元に戻してください」と訴えました。

 馬奈木弁護士は、先の大量排水問題に触れ、干拓事業で湛水被害が防止できるかのような農水省、長崎県の宣伝がごまかしであったと述べ、国の費用で対策を行うべきだと主張。

 農業と漁業が対立するかのような構図をつくり出した農水省と県を批判し、原告・弁護団の開門の提案こそが農業・漁業を両立させ、有明海を再生することが可能になると述べました。

 報告集会で馬奈木弁護士は、今回の排水問題は事の本質をはっきり示したと述べ、県がやってきたことの結果として漁民・農民双方に被害が出ていると指摘。その解決のためには、開門して海水を入れ、調整池の水質を改善させることだと述べ、そのための対策工事に着手すべきだと強調しました。

 原告・弁護団は同日、県に対し、背後地の排水、農業用水確保対策を行い、早期に調整池に海水を導入するよう求める要請書を提出しました。