産廃周辺で基準値超の水銀
 長崎市に対策要請
 市民の会

  長崎市の「神浦ダム」上流の三方山産廃処分場周辺流域の水質検査で、総水銀が環境基準を超過して検出された問題で、「くらしと地域を考える長崎市民の会」(代表委員吉田省三長崎大学経済学部教授)は30日、長崎市の田上富久市長にたいし、水源保全のための安全対策を申し入れました。

 新婦人長崎支部の代表や、日本共産党長崎市議団から牧山隆、中西敦信両市議が参加しました。

 申し入れでは、
▼今回判明した総水銀は、従来の検出場所と異なり、汚染拡大が危惧される
▼「水質データー改ざん」以降も三方山流域で総水銀の異常値検出
▼三方山産廃処分場周辺に設置されたパイロットプラントの原水の水質分析で恒常的に総水銀が環境基準を大きく超過している▼産廃処分場周辺の住民が飲料水に使用している井戸水の検査で、硝酸性窒素及び亜硝酸窒素が年々上昇

 などを指摘し、安全対策を求めるとともに「事故や災害等に対応するため、市が計画をすすめている落矢ダムをはじめ旧町の水源廃止は、防災・安全の専門家の見解を聴取し、見直す」よう求めました。


 市環境部の樫山敏徳部長は、「水源をまもるために原因究明や、今後の対策を十分協議したい」と答えました。

 同処分場をめぐっては、7年に及ぶ市民の訴訟で、裁判官立ち会いの現場検証が二度もおこなわれ、掘削された土砂約7千トン中に1千700トンの下水汚泥が判明。

 しかし市は不法投棄でなく、「不適正処理」として不問にし、現在も同事業者との間で、下水汚泥脱水ケーキをコンポスト化するための処理委託契約(年間約4億円)継続。

 吉田代表は、「汚染源を撤去し、汚染を拡大させないという環境対策の基本に反する」と長崎市の姿勢をきびしく指摘し、三方山産廃処分場の撤去、水源保全を再度要請しました。