「しんぶん赤旗」2009/6/18
原爆症認定訴訟 
被爆の実態反映を
 福岡高裁で原告 


 国に、原爆症認定申請却下処分の取り消しを求めている長崎の集団訴訟の控訴審が15日、福岡高裁で行われました。原告・弁護団、国側双方が陳述しました。

 長崎地裁で敗訴した宮西敏江さんが、当時の被爆の状況を語りながら距離による線引きを告発。「東京高裁判決と同じように被爆の実態を反映した判決を」と訴えました。

 中村尚達弁護団長は、この間の裁判の集大成といえる東京高裁判決の意義について述べた上で、▽勝訴原告の認定▽未判決原告の積極的救済▽被爆者救済の立場での敗訴原告の対応などを求めた与党PTの解決勧告を紹介。
 国は全面解決に向けた具体的方法を示していないと述べ、裁判所に「国の理由なき争いを封じて公正な審理」を求めました。

 国側は、遠距離被爆者を認定した東京高裁判決の上告を断念しながら、従来の主張を繰り返しました。

 報告集会で原章夫弁護士は、原爆症の起因性について国は法律に基づかないきびしい基準を設けていると批判。
 森内實原告団長は、「わたしたちには時間がない。一日も早い解決を」と訴えました。

 被爆者・原告は、この間の司法判断に沿った原爆症認定基準の抜本的改定、政治的決断による全員救済、全面解決を求めています。