「しんぶん赤旗」2009/2/18
諌早湾堤防開門 
「協議に応じない」
 
国が陳述 長崎地裁


 諫早湾干拓潮受け堤防の開門を求めている小長井・大浦漁業再生請求裁判の第五回口頭弁論が十六日、長崎地裁で開かれ、原告・弁護団、被告である国の双方が陳述しました。

 国が陳述するのは初めてです。

 原告漁民(代読)は、堤防閉め切りで有明海の「音」がなくなり、潮の流れがゆるくなったと証言。
 「門を開け、有明海の音が復活すれば、アサリも生活も元に戻るはず」と訴えました。

 塩澄哲也弁護士は、堤防を常時開門しても防災対策には何ら支障がないことを具体的に明らかにしました。

 国側は、干拓による被害は出ておらず、違法性はないと主張。公共・公益性ははっきりしており、「原告のみとの協議は公共性を失う。開門協議に応じるつもりはない」と述べました。

 馬奈木昭雄弁護団長は、開門が前提であることや協議する関係者のなかに原告漁民も入っていることを農水大臣・農水省が認めていると指摘し、「原告のみ」との協議を求めたことはないと強調。

 国の態度を、「国は裁判の中で必要な議論をすればよく、国が一番公共性を無視している」と強く批判しました。

 報告集会で馬奈木氏は、「開門できない根拠はな」く、「国会でも佐賀の裁判でも決着はついている」と強調。論点整理すれば、国が反論できないことが明らかにされると述べ、裁判勝利を保障するための法廷外のたたかいを呼びかけました。

 原告・弁護団は、開門へ向けた世論を喚起しようと、裁判に先立ち、県庁前や繁華街で宣伝。市民に潮受け堤防の開門を訴えました。