「しんぶん赤旗」2009/2/14
長崎市民病院と原爆病院
 統合に反対しシンポ

 市民病院と原爆病院の統合をめぐる問題で、くらしと地域を考える市民の会は十一日、長崎市内で講演とシンポジウムを開き、二百人を超える市民がこの問題について考えました。
 
日本福祉大学大学院の牧野忠康教授が講演しました。牧野氏は、自治体病院としての長崎市民病院の役割について、市民による市民のための地域医療をつくることだと強調。「市民病院は市民密着型であり、被爆者医療は国が責任を持つべきもの。市民病院を直営で残すべき」と語りました。

 長崎記念病院の福井洋病院長が長崎地域の医療の現況について報告しました。

 シンポで、脇岬連合自治会長の達利昭さんは、市南部の野母崎地域の医療が危機にある現状を告発し、市民病院の現在位置での建て替えを要望しました。

 長崎被災協の山田拓民事務局長は、被爆者五団体で原爆病院廃止に反対する要請をおこなったことを紹介。原爆病院の廃止は国の被爆者政策に沿うものであり、「到底許せない」と強い口調で訴えました。長崎市役所従業員組合の里正善委員長は、「統合は雇用の場が失われるだけでなく、地域経済にも影響がある。住民とともにたたかいたい」と決意を述べました。

 会場からは、「県の提案は、統合による高度な研修を目的にしている。これにどう答えるか」「高機能病院をつくらなければ医者は集まらない」など高機能化に関する意見や「原爆病院は被爆二世、三世の健康管理をすべき病院」「自治体病院として残してほしい」「低料金で安心してかかれる病院をつくってほしい」など統合に反対する意見など活発な討論がおこなわれました。

 参加者からは、「高度医療の病院は必要ですが、近くて気軽に受診できる病院がなくなるのは困ります」「地域医療の重要さを知りました」などの感想が寄せられました。