「しんぶん赤旗」2008/12/17
長崎被爆地拡大連が厚労省要請
 事実にたち平等な支援を

 被爆者支援充実を求めてきた長崎被爆地拡大連絡会(峰松己代表世話人)は16日、厚生労働省に被爆体験者支援事業で「記憶がない」と却下した人に受給証をただちに交付することなどを求めました。日本共産党の仁比聡平参議院議員、田村貴昭、ふちせ栄子両衆院比例候補、津村国弘長崎市議が同席しました。

 被爆体験者支援事業では2005年6月から「被爆体験の記憶がない者は事業の対象としない」と事実上、条件を強化。要請書によると約3千人(3割)が医療受給者証を取りあげられました。

 要請では@却下した人への受給者証交付A新規発症疾患の随時追加B精神科医診断を3年に1回とし、意見書の公費負担C医療費受給者の住居要件の撤廃Dガンを事業対象疾患とするE「被爆体験者」を被爆者として被爆者健康手帳を交付する−を求めました。

 厚生労働省健康局総務課の担当者は受給者証の交付、新規発症疾患の追加、精神科医の診断については「ぎりぎりの協議をしており、検討中」などと答えました。その他の要望については「難しい」としました。

 峰代表世話人は「一緒に遊んでいて対象の人と対象外の人がいる。実情を充分踏まえたやり方にしてもらいたい。ただ見た目や考え方だけでなく、事実にたった判断をしてほしい」と被爆者の声を代弁しました。

 ふちせ候補は、原爆の爆風や閃光を浴び親類が亡くなるなかで多くの疾病をかかえる被爆者らの「不安でなりません」「平等にお願いします」との手記を読み上げました。

 同支援事業は、原爆のトラウマなどに伴う疾病の支援を行うとしてスタート。こけので何の支援もなかった旧長崎市外で被爆した人たちに一部疾病の医療費が支給される前進面が生まれました。

 一方でがんや感染症を対象疾病からはずすなどの問題も残され、被爆者からは抜本的な改善を求めの声が上がっています。