「しんぶん赤旗」2008/12/16
むつごろう裁判 
住民の請求退ける 
原告は「今後もたたかう」


 諫早湾干拓事業への公金支出差し止めと県が支払った約三百四十億円の負担金の返還を求め、長崎県内の住民二十二人が国や長崎県知事らを訴えた裁判で、長崎地裁は十五日、原告の請求を退けました。

 裁判では、この事業が土地改良法が定める費用対効果を満たしているかが争点となっていました。

 原告らは、国は作物生産や災害防止、国土造成の効果などを過大に評価する一方、干潟の浄化能力など文化的経済的価値の損失を考慮していないなど、費用対効果の割合を虚飾していると主張していました。

 弁護団は、判決の評価すべき点として▽国に対して違法を住民訴訟で問うことができる▽変更計画についても費用対効果の要件が適用できる▽干潟の浄化能力を評価すべきこと認めたことの三点をあげました。

籠橋隆明弁護士は、十三年間たたかい続けた意義を強調。「干潟の回復の可能性に道を開く役割を果たした」と述べました。

 原告の松田恵子さんは、「ほかの裁判でいい判決が出ていたので少し期待していたので残念。水門が開けば干潟の再生の可能性はある。これからもたたかっていきたい」と話しました。