しんぶん赤旗」2008/11/19
諌早湾干拓公金訴訟
農業と漁業のために開門を 
福岡高裁で4人が陳述


 諫早湾干拓農地への公金支出差し止め訴訟の第三回目の控訴審が17日、福岡高裁で開かれ、原告の漁民・弁護士ら四人が陳述しました。

 有明海で漁業を営む松本正明さんは、漁業の現状と県民を騙し続ける農水省と県を怒りをもって告発。
 「息子に漁師を勧めたことを悔やまなければならないことが悔しい。漁師と農業者が手を携えて日本の漁業・農業の発展に尽くせるようにでたらめな公金支出をやめさせてほしい」と訴えました。

 中原昌孝弁護士は、干拓農地での営農と調整池の利用実態について陳述。
 潮受け堤防の閉め切りに固執する県の姿勢が干拓農地における営農を困難にしていると指摘。漁業と農業の両立のために開門を求めました。

 堀良一弁護士は、潮受け堤防の開門については、国会でも論点は出尽くしており、農水省が漁民との協議を開始すればいつでも開門は可能だと強調。
 佐賀地裁判決控訴時の農水大臣談話の趣旨は、開門することが前提であり、その方法を漁民と協議することだと指摘し、農水省の開門アセスは開門を求める漁民や市民の期待を裏切るものだと批判。この干拓事業は歴史的な転換点を迎えていると述べました。