「しんぶん赤旗」2008/9/24
諌早湾干潟公金差し止め裁判
漁民もう待てない
福岡高裁で第2回意見陳述

 諫早湾干拓農地公金支出差し止め訴訟の第二回意見陳述が二十二日、福岡高裁で行われ、漁業者など三人が陳述しました。

 裁判には、原告や支援者約四十人が傍聴に駆けつけました。

 陳述した島原市の有明漁協の篠塚光信さんは、干拓事業が諫早湾内漁業と同じように漁業に壊滅的な影響を及ぼしていると述べ、「もう、漁民は何年も待てない。佐賀地裁の判決を真摯に受け止め、漁業不振の原因究明のための開門調査と不漁に苦しむ漁民救済のための漁業振興策に予算を回すべき」と訴えました。

 新日本婦人の会長崎県本部の事務局長でもある大石久仁子さんは、大型公共事業に税金をつぎ込みながら、県民の福祉・教育の予算を削る長崎県の姿勢を批判。
 塩澄哲也弁護士は、県の農業振興公社に対する貸付の長期にわたる返済計画の異常性を告発。干拓農地の営農の実態にも触れながら、「七十九年間、一年も欠かさずに常にリース料が完納されるという確実な回収可能性はない」と指摘し、県の公金支出は誤りであり、「地方財政法違反となるのは明らか」と陳述しました。

 裁判後開かれた報告集会(写真)で、馬奈木昭雄弁護団長は、開門まであと一歩のところまで来ていると強調。「流れは変わって来ている。一挙解決の機運を高め、四月開門へ向け、力を合わせてがんばろう」と呼びかけました。