「しんぶん赤旗」2008/8/28
長崎造船じん肺訴訟原告団 
和解拒否に抗議声明

 損害賠償や謝罪などを求めてたたかわれている三菱長崎造船じん肺第二陣訴訟の第三回裁判が二十五日福岡高裁で行われ、高裁が示した和解案を三菱重工が拒否し、和解は決裂しました。

 和解拒否が告げられると、高裁前で待機していた原告や支援者からは失望と怒りの声が上がりました。

 この日の協議に先立ち、高裁は、三菱重工が原告全員に損害賠償金を支払う和解案を提示していました。

 原告団は、一部賠償額が地裁より減額されるなど不満はあるものの、原告らの高齢化と病状の悪化を理由に和解に応じる意向を示していました。

 原告・弁護団は、和解決裂の原因は、三菱が現行じん肺法を無視し、CT鑑定に固執したことにあると指摘。じん肺加害企業として、「反社会的体質を露呈したものであり、到底容認できず、強い怒りをもって抗議する」との声明を発表しました。

 和解が決裂したことに、初柴俊夫原告団長は、「呆れた。もう三菱に要請はしない。今後は抗議行動を大いにやっていく」と怒りを込めました。

 熊谷悟郎弁護団長は、「たたかいが三菱を追いこんでいる。世論に訴えることが早期解決につながる」と今後のたたかいを呼びかけました。

 下請けの溶接工として三十年間三菱造船で働いてきた原告の一人は、「和解を期待していた。死ぬのを待っているとしか思えない」と話しました。