「しんぶん赤旗」2008/7/3
中学生自殺 長崎地裁で判決
不適切指導と因果関係認定


 子どもが学校で自殺したのは指導に問題があったとして損害賠償を求めていた事件の判決が三十日長崎地裁で言い渡されました。

 判決は、原告らの請求を棄却したものの、指導の不適切さと自殺との因果関係を認めました。

 この事件は、〇四年三月長崎市立中学校に通う二年生の安達雄大君が、喫煙に関して教師の指導中に学校の四階の窓から飛び降り、自殺したものです。雄大君の両親は、教師の不適切な指導が原因だとして長崎市を相手に提訴していました。

 判決は、雄大君が、雄大くんの喫煙を知っている友人やサッカー部員の名前を書かされたことで友人らが指導され、部活が停止となり、担任教師の家庭訪問を受けることなどを苦慮、「指導がなければ雄大が自殺することがなかったことも明らか」と指摘。
 「指導と自殺には事実的因果関係があると優に認められる」と述べています。

 判決は、指導は不適切だが法律上の配慮義務に違反したとまでは認められないとし、自殺の予見可能性があったとはいえず、被告に過失はないとして棄却しました。

 判決後に開かれた報告会では、支援者から「裁判しても何もかわらない」など批判の声が多く聞かれました。

 弁護団は、このような指導を繰り返さないため、今回、指導の不適切さが認められたことの意義を強調しました。