2008年6月24日(火)「しんぶん赤旗」

長崎地裁

原爆症 20人を認定

新基準以外の肝障害も


 長崎県内の被爆者二十七人(うち八人は死亡)が原爆症認定申請の却下処分取り消しなどを国に求めた訴訟の判決が二十三日、長崎地裁(田川直之裁判長、異動のため須田啓之裁判長代読)でありました。田川裁判長は、二十人を原爆症と認め、却下処分の取り消しを命じました。残りの七人については請求を棄却しました。


7人は棄却

写真

(写真)「勝訴」の垂れ幕に拍手する支援者=23日、長崎地裁前

 判決は、これまで勝訴した六地裁、二高裁の判決と同じく、国の認定姿勢を批判しました。「残留放射線による被ばくや内部被ばくを十分に考慮しない審査の方針は放射線起因性の審査としては不適切である」とのべました。

 今回の判決では、四月から始まった新基準による原爆症認定の「積極的認定の範囲」に対して、どこまで広く原爆症と認定するかが注目されました。

 「積極的認定」の範囲外で請求が認められた被爆者は十人。慢性肝炎や肝障害については「放射線起因性が認められる」と判断。肝臓関係の疾病を抱える原告を全員原爆症と認めました。「積極的認定」の対象となっていない「両変形性膝関節症」「狭心症」「ガラス摘出後遺症」などの疾病も認められました。

 請求を棄却した七人については「推定される被ばく線量が小さい、放射線以外に(病気の)原因があることがはっきりしていて病状の推移と放射線との関連が示されていない」としました。

 却下処分取り消しと同時に請求していた国家賠償はいずれも、認められませんでした。

 今回の原告は、六十二―八十一歳の男女で、がんや肝硬変、白血病などで認定申請を行い却下された被爆者ら。同種の訴訟は現在、全国四高裁・十五地裁、二百九十四人の原告で争われています。国は、地・高裁合わせて九連敗となりました。

新たに55件 原爆症認定

原告の半数超す

 厚生労働省の被爆者医療分科会審査部会は二十三日、五十五件を新たに原爆症と認定することを決めました。うち原爆症認定集団訴訟の原告は十七人です。

 四月の新基準導入後、分科会による認定者は四百二十八件。原告三百五人のうち認定者は、仙台、大阪両高裁で勝訴が確定した十一人も含め、百五十九人(52・1%)となり、初めて半数を超えました。