「しんぶん赤旗」2008/5/17
原爆症認定集団訴訟
却下処分取り消して
認定求め意見陳述


 原爆症認定集団訴訟二陣の第十二回口頭弁論が十二日、長崎地裁で行われ、原告、支援者など約五十人が傍聴しました。
 この日陳述したのは、生後八か月のときに被爆した川原進さん(63歳)。

 川原さんは、疎開先の西彼杵郡時津村で被爆。八月十五日頃、預けていた家財道具を引き取りに爆心地から約一`の長崎市本原町に母親に背負われて入り数日間通ったことや、その後の健康状態などについて陳述しました。

「私たちは何も知らないまま放射能に汚れた土や石に触れ、放射能を含んだ埃を吸った。原爆の被害は秤や物差しで測れるものではない。『新しい審査の方針』を一律にすべての被爆者に当てはめるのは無理がある。幼い乳児の場合、計り知れない危険にさらされた」と述べ、厚労省の認定却下処分の取り消しを求めました。

 弁護団の横山巌弁護士も陳述、被爆者の願いにそむく厚労省の原爆症認定行政を批判しました。

 法廷では、新しく着任した裁判長に被爆の実相を知ってもらおうと原爆の惨状を映したビデオも上映されました。

 川原さんは、原爆症認定の「新しい審査の方針」の「入市が百時間以後であっても一週間以上滞在した入市被爆者」など「積極的に認定する」に該当しません。

 「実態に即した認定をしてほしい」と川原さんは話しました。