「しんぶん赤旗」2008/1/30
諫干農地、公金差し止め訴訟
海取り戻すまでがんばる ただちに控訴へ


 諌早湾干拓農地への公金支出差し止めを求めた住民訴訟の判決(長崎地裁、二十八日)は、「営農が成立する見込みが一応ある」「長崎県の負担が生じることは確実とはいえない」して、原告の請求を退けました。
 なんとも歯切れの悪い判決に、原告や支援者からは、「無駄遣いする知事がいれば県民の生活は大変になる」「海を取り戻すまで頑張りたい」など発言が相次ぎました。

 干拓農地は長崎県が全額出資する公社が国から一括配分を受けて、営農者にリースするもの。県は取得金五十一億円を金融公庫などから借り入れ、九十八年かけて返済します。

 判決の後の報告集会で、馬奈木昭雄弁護団長は、「裁判所が違法でないと言ったから違法でなくなるわけではない。違法であることははっきりしている。」と述べ、県に問題があるとしながら、県民に疑問点について百lの立証責任を課すものであると判決の不当性を批判しました。「県民の生活を守りぬく。この事業をやめさせるまでがんばりぬこう」と呼びかけました。さらに、「直ちに控訴してたたかいたい」と決意を述べると参加者は大きな拍手でこれに応えました。

 原告として諫早市議会で諫早湾干拓問題を繰り返し追及してきた元市議の福岡洋一さん(66)は、「裁判所は役割を果たしていないと思います。判断を避けている。県民の立場に立った判断をすべきです。九十八年の返済を県民が納得するはずがありません」と語りました。

 有明海で漁業を営む吉田訓啓さん(43)は、「残念です。県はお墨付きをもらったと考えるのではないか。百年で返済していいのなら何でもできる。違法ではないのだから」と、納得できない様子でした。
 
 日本共産党の田村貴昭衆院比例候補も駆けつけ、「仕事をすればするほど赤字になる農政を押しつけながら、干拓農地をつくることは矛盾している。力を持った者だけの農政、行政でいいのか」と批判し、ともにたたかう決意を述べました。

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 弁護団と原告らは集会後、県や公社県議会議長らに公金支出とリース方式の中止、潮受け堤防の開門を求めて申し入れを行いました。
 また、諫早市と同市議会にも申し入れ、借入のための支援計画書を取り下げるよう要望しました(写真上)。