「しんぶん赤旗」2008/1/23
三菱じん肺裁判 福岡高裁で口頭弁論
みんな高齢 解決早く


 長崎の三菱造船所で下請けとして働いていた労働者らが三菱重工に対し、じん肺被害の損害賠償を求めている裁判で、二十一日福岡高等裁判所で第一回口頭弁論が行われました。
 高裁には長崎や福岡、下関、横須賀、東京から百人以上が傍聴に駆けつけました。

 三菱長崎造船じん肺訴訟第一陣は〇二年、「じん肺加害企業責任」を三菱に認めさせ和解しています。第二陣原告団は〇三年に提訴。じん肺認定にCT鑑定を採用しないこと、下請け労働者も社員と同じように救済することなどが裁判の争点となっていました。

 長崎地裁は和解案を提示しましたが三菱重工が拒否。昨年七月、地裁は下請け、孫請け労働者を社員と同じように救済するという画期的な判決を出しましたが、三菱はこれを不服として控訴。
 原告団も、時効などを理由に原告三人が却下されたこと、下請け労働者と管理区分2の非合併症合計十二名だけを控訴し原告団の分断ともとれる策を許さないとの立場から全員が控訴しました。

 初柴俊夫原告団長は口頭弁論で、「裁判の引き延ばしは犠牲者を増やす。原告をこれ以上苦しめることのないよう早期の解決を」と訴えました。

 熊谷悟郎弁護団長は、「CT検査でなければじん肺の判定ができないという文献は存在しない」と三菱の主張を批判しました。

 原告の荒木隆さんは、「みんな高齢なので動けるうちに解決してほしい。この裁判で勝利すれば全国の下請け労働者にとって朗報になる。支援をお願いしたい」と語りました。