日本の平和をナガサキから考える
平和研究所が講演会


 長崎総合科学大学長崎平和研究所は一日、長崎市内で平和文化講演会を開き、市民約七十人が耳を傾けました。

 今年五月に成立した国民投票法が三年後に施行されることから、憲法「改正」によって何が変わるのかを学ぼうと開かれたもの。

 森英樹龍谷大学法科大学院教授が「いま国際社会のなかで日本の平和とは−ナガサキから考える−」と題して講演しました。

 森氏は、日本国憲法公布時の問題点に触れ、主権者でなくなる天皇が憲法を「公布せしめ」たと述べ、日本では「主権在民」の憲法制定後に「主権者」を形成したと指摘。主権者運動の成果としての憲法をもつ欧米と対比させました。

 教育基本法の改定や教科書検定問題など、還暦を迎えた憲法に引退を迫る外堀の埋め立て工事が始まっていると述べ、軍事法が相次いで改定されていることに危機感を示しました。

 また、米軍の再編成や日本企業の多国籍展開が憲法九条の廃止を求めていることを指摘。国際経済活動が引き起こす軍事的展開を遮断することに日本国憲法の今日的意義があると強調しました。

 参加者から、「沖縄での集団自決強制の問題は日本の軍隊そのもののあり方の問題では」「日本とドイツ、同じ独裁国家でありながら、戦後の意識の落差はなにか」などの質問が出されました。