政府交渉続報
 2007年長崎県政府交渉の続報です。

新幹線建設

全自治体同意が前提

党長崎県委要請に国交省


 住民から批判が強い、九州新幹線長崎ルート建設計画問題で、日本共産党長崎県委員会は10月18日、国土交通省にたいし、建設着工の前提条件となる地元同意について、JRが経営分離する区間を指定し、各沿線自治体のすべてが文書で回答することを、これまで通り堅持するよう要請しました。国交省は「(これまで通り)まったく変わっていません」と、堅持することを明確にしました。

 同計画は、博多―長崎間を新幹線で結ぶというもの。総事業費は二千七百億円で、所要時間は二十三分だけ短縮されるといいます。一分短縮するのに百十七億円をかける計算です。計画には佐賀県鹿島市と江北町が反対を表明しています。

 これまで、国交省は日本共産党の仁比聡平参院議員の国会質問にたいし、沿線自治体の一つでも反対していれば「着工しない」と答弁していました。

 しかし今年九月、建設着工の前提条件となる地元同意について、自民党整備新幹線等鉄道調査会の久間章生会長が見直す必要性に言及。「枝線の同意を着工条件にするのは厳しすぎるのではないか」と発言していました。

 要請で堀江ひとみ長崎県議は、「私たちが危ぐしているのは、毎年予算が確保されていること。(国は)推進しようとしている」と批判しました。

 国交省の担当者は「久間議員の発言の詳細は把握していないが、国会議員の考えの一つとしか考えていない。仁比議員などにこれまでお答えしてきた通りです」と答えました。

 要請には、仁比議員と田村貴昭衆院比例候補が同席しました。仁比議員は、全自治体の同意を条件とすることを今後も変更することのないように強く求めました。(しんぶん赤旗九州・沖縄面)


佐世保への原子力艦船入港

市民に通告公表再び

党長崎県委外務省に要求


  概算要求が各省庁から出されるなか日本共産党長崎県委員会は10月18、19の両日、政府交渉のため六つの省庁を回りました。長崎県の党地方議員らは基地、福祉、大型公共事業、離島などの問題で住民の声を紹介し、国に対策を要望しました。日本共産党の赤嶺政賢衆院議員、仁比聡平参院議員、田村貴昭衆院比例候補も同席しました。

8省庁と交渉

 10月19日に行った外務省交渉では、長崎港への米艦船入港中止を米政府に要請することや佐世保港への原子力艦船入港の二十四時間前事前通告を市民に公表することの復活などを求めました。

 佐世保港への原子力艦船入港の二十四時間前事前通告の非公表は、九・一一米国同時テロ以降、米側が警備を理由に日本側に求め、両政府で取り決めたもの。以後六年間継続され、今年九月までに米艦船が非公表のまま百二回寄港しました。

 要請で外務省の担当者は公表について「アメリカと随時交渉はしているが、安全性のため公表はできないとアメリカ側から言われている。現時点では困難と考えているが、事後には公表している」と理解を求めました。

 日本共産党の山下千秋佐世保市議は「暫定的、一時的と説明してきたが、暫定的ではなくなってきている。港には漁船やフェリーも航行する。米艦船の安全性をいうなら、何も知らされない漁船やフェリーの安全性はどうなのか。このまま、なし崩しになるのではないか」と地元の不安を伝えました。

 仁比議員は「日米の取り決めならば復活させる責任は日本側にもある」と米側に外務省が交渉するよう迫りました。

 長崎港への米艦船入港については、外務省の担当者が「アメリカ側に要請を伝えることはできるが、日米安保の目的達成のためで地位協定にも(入港)できると書いてある」と理解を求めました。

 中田剛長崎市議は「理解を求めるのなら、被爆地長崎の気持ちも理解していただきたい」。赤嶺議員は「被爆地の感情に配慮しなければいけない。長崎の気持ちを考えて外務省が動くなら、日米地位協定を見直ししないといけない」と指摘しました。

介護、医療で

 10月18日には、厚生労働省と交渉。介護保険の見直しや来年四月から実施される後期高齢者医療制度の中止・撤回、子どもの医療費無料化を国の制度として確立することなどを要望しました。

 介護保険の問題では、ケアマネジャーでもある真坂共子江迎町議が利用者の「介護保険料を払っているが、保険料が高すぎてサービスを受けるお金は残らない」などの声を紹介。保険料の減免制度を国の制度として確立することや介護事業従事者の厳しい労働状況を改善するよう迫りました。

 後期高齢者医療制度については牧山隆長崎市議が「保険料は上がるといわれている。国保でも払えない人が出ているのに、お年寄りにとっては重い負担になる。少ない年金から天引きされ、いや応なしに支払わされる。そんなことをしていいのか」と住民の生活が圧迫される危険性を突き付けました。

 厚労省の担当者は介護保険について、保険料は各自治体が定めるもので、低所得者対策もされているとの認識を示しました。後期高齢者医療制度については、保険料が段階的に設定されることなどと理解を求めました。(しんぶん赤旗九州・沖縄面)


被爆者対策見直して

党長崎県委が厚労省に要望


  原爆症認定基準の見直しが進められるなか日本共産党長崎県委員会は10月19日、被爆者対策の見直しを厚生労働省に要望しました。国家補償を明記した被爆者援護法の制定や被爆体験者支援事業を抜本的に改め被爆者援護法での認定にすること、原爆症認定基準の抜本的解決と早期見直しなどを求めました。

 要望には、日本共産党長崎県地方議員団のほか仁比聡平参院議員が同席しました。

 被爆体験者支援事業は、二〇〇二年度から国の委託を受け市や県が実施。被爆体験をもとに医療費などが給付されていました。同事業は、原爆症認定の基準が厳しく、受けられない被爆者が多くいるなか、被爆者を救済する役割を果たしてきました。

 しかし実施から三年後、認定基準を厳しくした新制度が実施されました。新制度実施にあたり、受給者に対し精神科医の面談などが行われ多くの被爆者が医療費支給を受けられなくなっていました。

 日本共産党の津村国弘長崎市議は要望で「受給を切られた人の救済はどうするのかという不安がある。再審査はしないのか、その場合の救済はどうするのか」と被爆者の声を伝えました。

 厚労省の担当者は被爆体験者支援事業については「再申請できない」と回答。原爆症認定では、認定申請を却下された被爆者が国の却下処分取り消しなどを求めている集団訴訟で原告側の主張を認める判決が相次いで出されたことをうけ、認定基準の見直しが進められていることを説明しました。(しんぶん赤旗九州・沖縄面)