2007年10月19日(金)「しんぶん赤旗」

諫早干拓

アサリ大量死 原因究明を

共産党県委員会が農水省に要望


 この夏諫早干拓事業がすすむ長崎県諫早湾で養殖アサリが大量に死滅した問題で、日本共産党長崎県委員会は十八日、農林水産省に国として対策を講じるよう要望しました。諫早干拓事業と漁業被害の因果関係を究明することや漁業被害補償制度をつくることなどを求めました。

 諫早湾で死滅した養殖アサリは、約千二百トンになり、長崎県の試算で被害総額は約三億円に上ります。県は赤潮を原因としていますが、赤潮が最高密度を観測した地区ではアサリのへい死率は2%や6%となっています。

 一方で諫早干拓事業の潮受け堤防近くの地区でのアサリのへい死率は100%。アサリが大量に死滅する前に、東京ドーム四杯分といわれる干拓調整池からの排水が行われていました。地元の漁民からはこの排水との因果関係を指摘する声が上がっています。

 堀江ひとみ長崎県議は、「漁業をやろうと息子が戻ってきたが、この被害で泣く泣く帰った」「国は(干拓)事業を見直すか、被害が出るたびに一生補償するかだ」との地元漁民の声を紹介。「カキにも被害が広がり、漁業をしている人たちの収入は途絶えている」と対策を迫りました。

 農水省の担当者は、「要望は大臣に必ず伝えたい。調整池の水質調査は引き続き行っていく」「(アサリの大量死は)赤潮の発生と潮止まりが重なるなど複合的な原因がある」と答えました。

 要請には、日本共産党の長崎県地方議員団と田村貴昭衆院九州・沖縄ブロック比例候補が参加。田村候補は担当者に「対症療法では根本的な解決にはならない。中・長期の開門調査を実施して諫早湾がきれいになるか調べることを強く望む」と調査を強く求めました。