2007年8月31日(金)「しんぶん赤旗」

アサリ大量死、調査

共産党に漁民 「干拓による人災」

長崎・諫早湾



(写真)アサリが全滅した養殖場の現場を調査する田村氏(右)、堀江県議(左)=30日、長崎県諫早市

 長崎県諫早市小長井町で養殖アサリが大量死したことについて三十日、日本共産党の田村貴昭衆院九州・沖縄ブロック候補、堀江ひとみ県議、木村和俊市議らが現地に入り、漁民らから被害状況の聞き取りをおこないました。

 養殖アサリの大量死は、各種報道では“赤潮が主な原因”としています。これにたいして漁民らは赤潮も原因の一つとしながらも「大きい貝も、小さな貝も一気に死んだ。通常の赤潮での死に方ではない。いままでになかったことだ。(海水の)『貧酸素状態』が最大の原因」と訴えます。

 二十五日、諫早湾奥(調整池)の北部排水門から予定の三倍(四百六十万トン)の規模で排水された酸欠状態の“汚れた水”が、「貧酸素状態」にあった海水をさらに東側に押し流したために被害が拡大した、といわれます。

 漁民らは「これは自然災害ではなく、(諫早干拓事業による)人災だ」と強調。同町漁協理事の松永秀則さんは「諫早干拓事業の根本的な見直しがされるべきです。このままでは同じことを何度も繰り返すことになる。水門をあけて、海水を入れ、水をかくはんすることが必要です。そうしないと有明海は戻ってこない」と訴えます。

 同被害の回復には「二年はかかる」(漁業関係者)といわれ、被害総額は二億円を超えるのでは、とも危ぐされます。被害への補償などは一切なく、早急な被害回復と、共済制度の確立などが求められています。

 田村候補は「アサリの大量死は諫早干拓事業、調整池からの排水に起因しているのは間違いないと思います。党としても被害者の補償、生活救済、調整池からの排水とアサリの大量死の因果関係究明など、行政に申し入れ、交渉していきたい」としています。