赤潮発生で、養殖アサリ全滅
  −有明海−

「水門開けない限り、被害続く」との声も

 有明海沿岸で発生した赤潮で漁業に深刻な被害が出ています。
 諫早市小長井町の三分の一の養殖場でアサリが死滅。養殖場は死んだアサリの殻で埋め尽くされ、異臭がただよっています(写真)。

 真夏日が続いたことでで淡水プランクトンが異常発生、貧酸素状態になったためです。
 これまでも赤潮は発生していましたが、これほど大規模な赤潮は三年ぶりです。

 小長井町漁協には現在九八名の組合員がいますが、全員がアサリの養殖をしています。通常十月まで漁穫できるはずが今月中頃に掘ったのが最後になりました。

 被害額はまだはっきり出ていませんが、一漁業者一千万円は下らないといいます。稚貝の被害まで入れると二千万円になるとも。閉め切り堤防に近いほど被害が大きくなっています。

 小長井町漁協組合員の大木秀隆さんの養殖場も全滅。「どうしようもない」と顔をくもらせました。
 次の養殖をするためには、アサリの死骸を片付け、砂をきれいにする必要があります。この作業にも百万円から二百万円かかります。
 補償はありません。養殖だけで生計を立てている組合員もおり、被害は深刻です。

 「水門を開けない限り同じことが繰り返される。諫早干拓事業が始まって十五年、漁獲高は八、九割減った。これまでの被害は(一業者)一億円以上になる」と漁協理事の松永秀則さんは語りました。