2007年8月10日(金)「しんぶん赤旗」

核兵器ない世界 扉開け

原水爆禁止世界大会が閉幕


 九日、長崎の街は原爆投下から六十二年を迎え、「原爆の悲劇は長崎を最後に」との誓いを新たにし、終日、さまざまな催しが行われました。原水爆禁止二〇〇七年世界大会・長崎の閉会総会には七千人が参加し、三日から広島、長崎両市で開かれていた世界大会は幕を閉じました。

 閉会総会で日本原水協の高草木博事務局長は、二〇一〇年のNPT(核不拡散条約)再検討会議に向けて核兵器廃絶の「明確な約束」の実行を求める世界的な行動をと提起。「すみやかな核兵器の廃絶のために」署名をはじめ核兵器廃絶の世論を広げ、非核日本と憲法九条を輝かせ、被爆者支援の草の根ネットワークをつくり、「核兵器のない平和な世界」の扉を開こうと訴えました。

 決議「長崎からのよびかけ」(下段掲載)と、国連と各国政府に核兵器全面禁止条約の協議開始を訴える「長崎からの手紙」を満場一致で採択しました。

 参加者の半数以上を占めた青年たちが横断幕やタペストリーを手に登壇し、「いろんな形で被爆者の思いを広げていく」と表明すると、参加者が「よーし」と応えます。全国で集めた五十万以上の折り鶴が揺れました。

 長崎の被爆者、山口仙二さんの「若い人たちが努力を続けて」とのメッセージが紹介され、長崎被災協の谷口稜曄会長、韓国原爆被害者協会の゙昌根(ジョ・チャンクン)氏、海外代表五氏が発言。原爆投下時刻の午前十一時二分、参加者全員が黙とうしました。

 札幌市から初参加の女性(20)=大学生=は「これだけ多くの人が核兵器廃絶を考えていることにびっくりしました。平和サークルで勉強会し、運動を広めたい」と顔を輝かせました。


原水爆禁止2007年世界大会・長崎決議

長崎からのよびかけ(全文)


 原水爆禁止二〇〇七年世界大会・長崎(九日)で採択された「長崎からのよびかけ」(全文)は次の通りです。


 一九四五年八月九日、一発の原爆が、国際文化の街―長崎を地獄に変えました。熱線と爆風と放射線は七万余のいのちを奪い、かろうじて生きのびた人々に、六十二年を経てもなお消えることのない深い傷を刻みつけました。

 長崎と広島の惨劇と被爆者の苦しみは教えています。人類は核兵器と決して共存できないと―。長崎出身の防衛大臣の原爆投下は「しょうがない」発言は、この事実に目を閉ざし、核使用の容認につながるものでした。大臣を辞任に追い込んだのは、被爆者はじめ被爆者国民の核兵器の使用はもちろんその存在も許さない強い思いです。

 核兵器廃絶を求める被爆者の叫びは、いま圧倒的多数の政府をふくむ世界の声となっています。二〇一〇年の核不拡散条約(NPT)再検討会議にむけ、草の根の運動、市民社会と政府の連帯した力で、核兵器廃絶の「明確な約束」の実行をせまっていく決意が高まっています。

 「テロと核拡散」を口実に、核をふくむ先制攻撃戦略を推進しているアメリカは、イラク戦争の泥沼化によって、国内外の厳しい非難にさらされ、孤立を深めています。日本では、参議院選挙で安倍政権に厳しい審判が下り、“アメリカとともに戦争する国づくり″をめざす九条改憲のくわだてに、大きな打撃をあたえました。

 いまこそ、「核兵器なくせ!」「非核・平和の日本を!」「憲法九条まもれ!」の声をひろげ、国民的な行動を力強く発展させるときです。私たちは被爆地・長崎からよびかけます。

〇 二〇一〇年のNPT再検討会議にむけ、核兵器廃絶の世論と行動を大きくひろげましょう。国連と諸国政府に核兵器全面禁止条約の協議開始を求めましょう。

〇 国連総会、NPT再検討会議準備委員会を節目に、「すみやかな核兵器の廃絶のために」署名を大きくひろげましょう。6・9行動や地域・職場・学園での日常的なとりくみを強めましょう。

〇 核兵器廃絶と「非核三原則」の厳守を政府に宣言させる「非核日本宣言」運動を、九月議会を皮切りに各地域でひろげましょう。

〇 「憲法九条まもれ!」の国民的な行動と共同をさらに発展させましょう。

〇 沖縄はじめ全国の米軍基地再編・強化反対のたたかい、横須賀の原子力空母母港化反対のたたかいをひろげましょう。イラクやインド洋から自衛隊を撤退させましょう。

〇 原爆症認定集団訴訟の全面解決と認定制度の抜本的改善を強く求めましょう。

〇 エジプト(十月)など世界各地で原爆展にとりくみましょう。被爆者とともに、その体験や願いを受け継ぎ、次の世代と世界に伝える活動をいっそう強めましょう。

 「核兵器のない平和で公正な世界」の実現は可能です。力をあわせ、いまこそ行動に立ちあがりましょう。

 ノーモア・ナガサキ! ノーモア・ヒロシマ! ノーモア・ヒバクシャ!

 二〇〇七年八月九日

 原水爆禁止二〇〇七年世界大会・長崎