2007年7月4日(水)「しんぶん赤旗」

久間防衛相が辞任

選挙に配慮” 暴言に反省なし

 

 広島、長崎への原爆投下を「しょうがない」と発言し批判を浴びていた久間章生防衛相は三日、「不用意な発言が安倍首相の改革姿勢のマイナスにならないように身を引く」などとして、「選挙への配慮」を理由に辞任する考えを表明しました。同日、首相官邸を訪ね辞意を伝え、安倍晋三首相も了承しました。後任は小池百合子首相補佐官。日本共産党の志位和夫委員長は「辞任は当然だが、かばい続けた首相の責任は極めて重い」とのべ、首相の任命責任を指摘しました。

 久間氏は辞意表明の会見で、「しょうがないという言葉を原爆投下と結びつけて解釈された不用意な発言だった」と弁明。被爆者には「大変申し訳なかった」としましたが発言内容への反省は示しませんでした。

 問題の発言は、六月三十日に千葉県柏市での講演で、「米国はソ連が日本を占領しないよう原爆を落とした。無数の人が悲惨な目にあったが、あれで戦争が終わったという頭の整理で、いましょうがないなと思っている」などと述べたもの。

 被爆者をはじめ各界から「被爆国の閣僚とは思えない」など怒りと抗議の声が上がり、二日には日本共産党の市田忠義書記局長が、久間氏の罷免と国会の場で責任を明らかにすることを求めていました。

 安倍首相は当初、「発言は米国の考え方を紹介したもの」などと久間氏をかばい、二日に会談した際にも厳重注意にとどめ罷免には応じない姿勢を示してきました。

 安倍内閣の閣僚辞任は、政治団体の事務所費を架空計上した疑いで辞任した佐田玄一郎行革相以来。首相が任命した人事での交代はほかに、本間正明政府税調会長、五月に自殺した松岡利勝農水相があり、首相の任命責任が問われます。


反省したわけではない

 長崎被災協理事、原爆碑めぐり案内人
                       田中重光さん(66歳)

 久間大臣の辞任は当然である。遅きに失した。安倍首相は当初久間大臣をかばっていたが、国民の世論が辞任に追い込こんだ。参院選を目前にして、辞任しなければ選挙を闘えないと思ったのだろう。反省して辞任したわけではない。選挙がなければ辞めてなかったのではないか。
 被爆者の集団認定訴訟で、県選出の国会議員に賛同署名をお願いして回ったが、ただひとり久間大臣だけが賛同しなかった。防衛大臣なので立場上できない、ということだったが、防衛大臣ならばなおさら賛同すべきではないか。
 被爆県の代議士として「しょうがない」というのは許せない。核の傘の安全保障で守られているというのは、被爆者として憤慨に堪えない。核兵器は悪魔の兵器であり、非人道的な兵器だ。核兵器をなくして、話し合いのなかで解決していくべきだ。