「しんぶん赤旗」2007/6/29
有明海再生にこそ税金を
諌早湾干拓訴訟で原告陳述


  諫早干拓農地住民訴訟の第五回裁判が二十五日、長崎地方裁判所において行われ、原告らが陳述しました。同訴訟を支援する「諫干への公金支出をやめさせる会」などから約四十人が駆けつけ、裁判を傍聴しました。同訴訟は、長崎県が諫早干拓農地をリースにするため五十三億街頭で署名を訴える支援者もの公金の支出を決めたことに対し、七十六人の原告が差し止めの裁判を起こしたものです。県の計画によれば、入植者から入るリース代では元金は戻ってこないことになります。

 陳述に立った新日本婦人の会長崎支部の大橋由紀子さんは、障害者自立支援法のもとで、障害者の子どもを持つ親の不安や苦境を訴え、県民の税金は、ムダな諫早干拓農地に使うより弱い立場にある人のために使うべきだと強調しました。

 漁業を営む吉田訓啓(とくひろ)さんは、諫干事業が始まって漁獲量が激減し生活を圧迫していること、漁業不振で後継者がいなくなっている実情を述べ、有明海再生のためにこそお金を使って欲しいと訴えました。

 原告弁護団は、長崎県の財政状況は破綻寸前であり、事業の失敗等により長崎県が財政再建団体となる可能性もあり、公金支出は許されないと主張しました。
 その後の進行協議で、県は、公金支出は五十三億円ではなく、それより少なくなるよう国と協議している、と答えました。この裁判のために駆けつけた日本共産党の仁比そうへい参院議員は「そのこと自体が事業目的が破綻していることを示している」と述べ、「ムダと環境破壊を許さない世論を広げ、干潟を再生させよう」「国民のいのちとくらしを守る政治に転換を」と訴えました。

 原告らは報告集会のあと、長崎市浜の町で「公正な判決を求める」署名行動を行い、一時間の行動で四十九筆の署名が寄せられました。署名した女子高生は「おかしなことに税金を使って欲しくない」と話しました。