「しんぶん赤旗」2007/6/8
ながさき平和委員会が声明

 ながさき平和委員会は、日本共産党の志位委員長の自衛隊の国民監視活動についての記者発表を受けて、次のような抗議声明を発表しました。

自衛隊の国民監視活動に断固抗議する

 自衛隊の情報保全隊が、イラク戦争や自衛隊のイラク派兵に反対する市民団体などを監視・調査していたことが判明した。私たちはこのような調査に断固として抗議する。

 「イラク自衛隊派遣に対する国内勢力の反対動向」と題した文書では、03年11月24日から04年2月29日までの全国の反対行動の主催団体・区分(色分け)・行動形態・年月日・時間・場所・動員数・行動の概要が一覧表として記述されている。さらに運動の動向を週単位で集計し、日本地図に、どこで何が行われたかを記入していた。

 その監視対象は全国41都道府県、293団体・個人に及んでいる。長崎県内では20を超
え、ながさき平和委員会も属する「有事法制反対長崎県連絡会」の宣伝行動や昼休みデモに対する詳細な記述もなされていた。
 また同時に明らかとなった、陸上自衛隊・東北方面情報保全隊で作成された文書では「医療費負担増の凍結・見直し」「年金改悪反対」「消費税増税反対」の運動などの監視活動まで行なっていたことが判明した。
 このような調査は国民の知る権利や思想信条の自由を真っ向から侵害するものであり、民主主義社会において許されるものではない。憲法21条に保障された集会、結社および言論、出版などの表現の自由を根底から脅かす憲法違反の行為に他ならない。

 そもそもイラク戦争は国際社会のルールを無視したアメリカの侵略戦争であった。その戦争を支持しイラクに自衛隊を派兵した日本政府にも現在のイラクの混迷に対して重い責任がある。その自衛隊がイラク戦争に反対する市民団体を監視するということは、イラク戦争が「自由と民主主義の実現」という大儀すらも無かったことを自ら証明しているものといえる。

 情報保全隊の本来の任務は「自衛隊の機密情報を守り、その漏えいを防止すること」であった。ところが最近、自衛隊内部からの機密情報の漏えいが頻発するなど、その存在価値が問われている。その一方で政府・自衛隊の活動に批判的な市民活動を監視することは、かつて軍隊の治安機関が国民全体の監視・弾圧機関となった戦前・戦中の「憲兵政治」を復活を思わせる。

 自衛隊は直ちに調査活動を中止し、調査の全容を明らかにするとともにその責任を明らかにすることを要求する。

2007年6月6日 ながさき平和委員会