「しんぶん赤旗」2007/3/30
核のゴミの島にはしない
対馬市議会
放射性廃棄物処分場誘致反対を決議



 自然豊かな対馬を「核のゴミの島にしてはならない」。長崎県対馬市議会(写真)は三月定例議会で、「高レベル放射性廃棄物の最終処分場誘致に反対する決議」を賛成多数で可決しました。(長崎県・田中康
    
 高レベル放射性廃棄物の最終処分場とは、原子力発電所で使用済みになった核燃料を再処理することで生じる「死の灰」を、ガラスといっしょに固めステンレス容器に詰めて地下三百b以深に埋めるというもの。容器一個で長崎原爆の約二十発分の放射性物質を含むとされています。

 原子力発電環境整備機構(NUMO)が二〇〇二年十二月から最終処分場候補地を公募しています。
 対馬は、旧「動燃」が民間会社に委託し極秘に実施した「地層調査」(一九八四年)と「広域調査」(八六年)の報告書で処分場に適していると評価され、「佐須奈南方」(旧上対馬と上県の町境付近)、「厳原南方」(旧厳原町南部)が候補地とみられます。
    
 その対馬市では、二〇〇四年三月の六町合併からわずか三年で二千人を超す人口が減少してしまいました。

二分する論議
 「島の活性化」が市政の重要問題となるなか、一部の市議らが昨年十一月から十二月にかけて、「NUMO」の職員を招き、事業計画や経済波及効果などの説明会を「勉強会」と称して実施しました。
 勉強会が表面化してからは、「処分場誘致は市がめざす『地場産業と観光との連携』(〇六年策定の市総合計画)をめざすまちづくりとは相容れない」と、市民を二分する論議となっています。
 日本共産党の武本哲勇市議は議会一般質問で処分場の危険性を具体的に解明し「(市民にとって)最悪の重大ニュース」と指摘。「風評被害は広範囲にわたり、あらゆる面で対馬のイメージはがた落ちする。被爆地長崎で孤立し、対馬出身者は肩身の狭い生活を強いられる」と誘致絶対反対を表明しました。

13市議連名で
 こうしたなか十三人の市議が連名で、「先祖代々受け継いできた風光明媚な対馬と、人情豊かな島民性を守りぬくことこそ、子々孫々に対する使命」として「誘致反対決議」案を提出したものです。

 同市の松村良幸市長は、質問に対し「賛成、反対の運動を止めようとは思わない」としながらも、「被爆県でもあり風評被害も考えられ、現段階では応募する考えはない」と明言。「決議」案は、賛成十五・反対八の大差で可決されました。

 武本市議は、「『よくやってくれた』など多くの市民はもちろん、対馬出身の島外居住者や壱岐、上五島町からも誘致反対決議を歓迎する声が寄せられている。市長は第三者的姿勢でなく『豊かな自然を活かした産業、安心して暮らせる生活環境』(市の基本構想)の立場で誘致の動きをきっぱり拒否すべきだ」と話しています。