「合併して良いことは何にもない」
合併後の実態におどろきの声相次いだ「県民のつどい」


 長崎県自治体労働組合総連合(大久保昇委員長)は十八日、長崎市内で「第六回市町村合併と道州制を考える県民のつどい」を開き、七十九から二十三となった県内自治体の合併後の実態を検証しました。

 同県の西彼杵半島北部五町が合併した西海市(二〇〇五年四月)、島原半島南部八町合併の南島原市(〇六年三月)、旧長崎市と周辺八町合併による長崎市(〇五年一月=旧琴海町は〇六年一月)から合併後のリアルな状況が報告されました。

 西海市の岡孝一・同市地域審議委員は、独自の市民アンケートの結果から税金や公共料金値上げ、地域行事の中止など「合併して良かったことは一つない」との多くの声を紹介。「合併後の二年で人口千五百人が流出した」と報告しました。

 南島原市の桑原幸治市議(日本共産党)は、「議員削減で七億円節約といわれたが、交付税の減額分に消えた」と合併前の宣伝文句を批判。旧町独自の福祉制度の廃止や値上げが相次ぎ「(合併への)不満がうっ積している」「(市は)こんなはずではなかったと言いながら、『夕張のようにならないために』と国や県の責任は問わず逆に住民に負担を背負わせている」とのべました。

 長崎市の吉原寿一・長崎自治労連副委員長は、独自に実施した「合併の影響に関する住民意識調査」の集計結果を紹介し、最近では「行政に要望するのがむなしい」との声さえ出ていると報告。「『合併は良くなかった』の声が明確に示された、住民の声をしっかり受けとめ運動に役立てたい」とのべました。

 つどいでは福岡県自治体問題研究所の宮下和裕事務局長が「市町村合併から道州制へ−自治体再編から地方自治の今後を考える」と題して講演しました。参加者からは、「合併からわずか二年で深刻な事態になっていることを知り驚いた」などの声が聞かれました。