「しんぶん赤旗」2007/3/20
諫早干拓農地の「リース」
税金投入止めよ ビラ配り会が訴え


 「諫早湾干拓農地の違法なリース化に県民の税金を投入するな」と、原告七十六人による住民訴訟がすすむなか、長崎県は先の県議会に干拓農地一括購入のため五十三億円を負担し、リース料を「十e当たり二万円」とする議案を提案。日本共産党以外の「オール与党」の賛成多数で議決しました。

 干拓農地は営農を希望する入植者が購入することを前提として推進され、県は「希望者は三・八倍」としていました。二万円のリース料は、県が支出する五十三億円を償還するものではなく「利子と運営費」にしかなりません。

 原告とともに住民訴訟をたたかっている「諫早干拓への公金支出をやめさせる会」は十七日、長崎市浜町の鉄橋(てつばし)で「公金支出の差し止めを求める要請」署名に取り組み、「公金は県民のくらしや福祉向上に」と訴えるビラを配りました。

 参加者は交代でマイクをにぎり、「全国に干拓農地の成功例はなく、二万円のリース料では五十三億円の回収どころか、経営困難となればさらに県民の税金をつぎ込むことになる」「リースでは今後、調整池を含む維持管理のため際限なく県民の税金が投入される」と訴えました。

 行き交う市民からは、「採算が合わないことをなぜやるのか。裏で金が動くなど別のところに狙いがあるのでは?」(市内の女性)「農地は余っているのが現実、県は生活の糧を奪われた漁民のことをどう思っているのか」(65歳の男性)などの意見や励ましの声が聞かれました。

 ビラを読んで署名した井手久子さん(62)は、「いったん決めたら何があってもゴリ押しするという姿勢からは、市民の幸せにつながる政治は生まれない」と話していました。