「しんぶん赤旗」2007/2/28
諫干公金訴訟 口頭弁論で原告
税金投入するなと陳述


 諫早干拓農地の不当なリース化に「県民の税金五十三億円を違法投入するな」と、七十六人の原告が長崎県を訴えている「公金支出差し止め住民訴訟」の第三回口頭弁論が二十六日、長崎地裁で開かれました。
 約五十人の県民が傍聴席を埋め陳述に耳を傾けました。

 陳述した原告は、佐久間洋子=新日本婦人の会長崎県本部常任委員、中里研哉=全日本建設交運一般労組県本部委員長、吉岡賢=県高等学校教職員組合委員長の三氏。

 佐久間氏は、絶対数の不足と大規模化が深刻な県内の学童保育所の実態を数字をあげて示し「補助金増額」を訴え。中里氏は、公共事業におけるゼネコンの莫大なもうけの一方で末端の労働者の劣悪な労働条件は改善されず、県幹部が絡んだ事件が続いていると告発しました。吉岡氏は、「県財政の窮迫を口実にした高校の統廃合」「図書館司書や養護教諭の配置の遅れ」などの具体例をあげて公教育の実態と県の責任放棄の現状を浮きぼりにしました。

 原告代理人の角田京子弁護士は、「ヘドロまみれで死滅したタイラギ」を見た時の印象をのべ、色落ちしたノリの現物を示して諫早湾干拓がもたらす環境破壊のひどさを告発。事業は「プラスの財産をもたらさず、多くの県民に貧困と不安を残した」と批判しました。
 傍聴者の間からは「どの意見も『その通りだ』とうなずける説得力あるものばかりだった」との声が多く聞かれました。

 口頭弁論に先立つ集会で訴訟弁護団の馬奈木昭雄団長は、「全国で大型干拓事業の成功例は皆無。失敗の尻ぬぐいをさせられるのは県民」とのべ県民の怒りの声を広げようと呼びかけました。
 次回は四月二十三日。