「しんぶん赤旗」2007/01/11
長崎原爆症訴訟
7月に結審ずれ込みか
「引き延ばしやめて」と被爆者


 原爆症認定申請を国が却下したのは違法として、長崎県内の被爆者二十七人(うち六人が死亡)が却下処分の取り消しを求めて長崎地裁(田川直之裁判長)に起こした集団訴訟で、今年春とみられていた結審が七月頃にずれ込む可能性が出てきたことが十日、分かりました。
 地裁が医療機関に、被爆者診療に関して回答を求めるためです。原告側は「引き延ばしはやめてほしい」と語っています。

 被告の国は昨年十二月、「原告の病状が放射能に起因しないことを明らかにする必要がある」として、原告のカルテを証拠として取り寄せることを申請。地裁はカルテを読むのに時間がかかるとして、医療機関に質問事項を送り、これへの回答かカルテ提出を選ばせる考えを示しました。

 原告側弁護士によると、地裁は原告十六人の診療に関する質問事項をのべ三十カ所の医療機関に提出し、回答を求める見通しです。

 長崎原爆被災者協議会の谷口稜曄会長は、「政府のごりおしで長引かせるのは、人権を考えていない。引き延ばしは残念」と話しています。