知事の責任と百条調査委員会の設置がますます重要に
県庁裏金で外部調査委員会が報告書


 11月24日、県庁の裏金問題を調査する「物品調達等外部調査委員会」(略称 外部調査委員会)の永田雅英委員長(弁護士)は、金子知事に対して報告書を提出しました。
 それによると、内部調査で1億8千万円とされていた99年当時の裏金が、実際は2億1808万円だったとしています。金子知事が「気づき、是正を指示した」という時点からも、新たに1億1724万円が裏金に流用され、99年から現在までの累計では、3億円が裏金として使われていたことになります。裏金には県庁の59部署が関係し、まさに組織ぐるみです。そして、現在も9つの部署で残高が3650万円あるとされています。

 私的流用については、確認できた分は長崎土木事務所と大瀬戸土木事務所、農村整備課、政策企画課だけであり、総額は431万円と報告されています。このうち本庁の政策企画課長補佐(46)は、現金など私的に流用していたとして、24日付で懲戒免職処分されました。

 同時に同報告書では、「帳簿を開示したのは5業者にとどまり、(県庁の)ほとんどの部署の会見担当者は、預け等の帳簿を開示しなかった」、「各部署の会計担当者と納入業者が口裏を合わせて基礎資料の提出を妨げている可能性も否定できない」と述べ、「内部調査も外部調査も非常に制約を受けていた」と、その限界性も指摘しています。

 同委員会の報告を受けて開かれた、県議会の全員協議会で金子原二郎知事は、「99年に改善指示を行い、再発防止の努力をしたにもかかわらず、これほど多くの部署で未だに行われていたことは、私としても驚きであり…指導が十分に浸透していなかった」と述べ、「すみやかにこの問題についての責任を明確にして、…再発防止対策を講じる」と決意を語りました。

 全員協議会を傍聴した、日本共産党長崎県委員会の山下満昭委員長は、マスコミのインタビューに応じ、「7年前に知事が事実を公表しなかった責任の重大性が、ますます明らかになった。職員だけが悪いとする論議は通らない」と述べました。 

     
【解説】
 外部調査委員会の報告は、裏金が累計で3億円以上にのぼっていること、特に「知事が知り、是正を指示した」あとも、1億円以上が裏金として使用されたことを明らかにしています。
 この点で知事の責任はますます重大です。24日の全員協議会で金子知事は、「改善指示を行い、再発防止の努力をした」と述べましたが、とんでもありません。
 県民の税金が2億円も不正に処理されてることを知りながら、県民に公表せず、秘密裏にことを済ませようとしました。しかも、12日の全員協議会では、6年前に「改善指示」についての結果の報告を受けた際、「どういう処理をしたのか、詳しく聞いていなかった」と答弁しているのです。
 「再発防止に真剣に努力した」どころか、無責任の極みです。知事が不正を隠し、その是正措置をとらなかったから、裏金づくりはその後も続き、一億円以上も不正に使われ、県民の被害を大きくしたのです。この知事の政治責任こそ、明確にすべきです。

 また、報告書を読んだ県民からは、「私的流用がこれだけだとは、とうてい信じられない」という声が寄せられており、この報告書で全容解明といえるものではありません。新聞報道された「業者が裏金から不当な利益を得ていた」とする「私的流用」なども未解明のままです。外部調査委員会自らが、「調査の限界」について語っている通りです。
 真相を究明するには、権限を持った調査が必要であり、県議会に100条調査委員会を設置する必要性は、ますます明白になっています。
 24日の全員協議会後の議会運営委員会で、日本共産党の中田晋介県議は、「100条調査委員会を設置」を強く主張しましたが、他の会派は賛成せず、「集中審議を一日行う(11月29日に決定)」ことで決着しました。県政の監視役としての、県議会のあり方も、鋭く問われています。